緒方孝市が語る広島の巻き返しポイント 若手野手たちには厳しいゲキ「必死にやるだけでは一軍の場合はダメ」 (3ページ目)
―― 一方で若手野手はいかがですか?
緒方 一軍で試合に使ってもらうためには、よりアピールが必要だと思います。例えば、林晃汰は長打を期待されているわけで、ファームでも、一軍での少ない打席でも、その期待に応えるような成績を残さないと使ってもらえません。先ほど名前を挙げた大盛の場合、チームが求めていたのは代走や守備固めでしたが、彼はそこでファインプレーやいい走塁をして打席も与えてもらった。数少ないチャンスで結果を出しているからこそ、今では出場機会を多く与えられ、レギュラー争いに食い込んでいるわけです。
田村俊介は昨季に苦労したことを生かし、今季はどういう姿を見せてくれるか期待していましたが、伸び悩んでいますね。ドラフト1位ルーキーの佐々木泰は故障が残念ですが、少ない出場機会のなかでいいものは見せてくれていました。若手たちが必死にやっているのは実際にプレーを見ていても、画面越しに見ていても伝わってきます。でも、必死にやるだけでは一軍の場合はダメなのです。やはり、結果が伴わなければ使ってもらえない世界ですから。
――1位の阪神が独走状態な一方、Aクラス争いが激しくなりそうです。
緒方 正直、優勝はかなり厳しいと思いますが、Aクラス争いはどうなるかわかりません。2位は手が届く位置にありますし、目標を見失ってはいけません。繰り返しになりますが、巻き返していくためには先発とリリーフを含めたピッチャー陣の整備、要所でのベテランの働き、といったことがポイントになるような気がします。
それと、若手をはじめ今チャンスをもらっている選手たちは、Aクラス争いのような緊張感のある試合を経験できるチャンスでもあります。消化試合などとは全く違う貴重な経験を積めることを、肝に銘じてプレーしていってほしいと思います。
【プロフィール】
緒方孝市(おがた・こういち)
1968年生まれ、佐賀県鳥栖市出身。1986年に広島東洋カープからドラフト3位で指名され入団。2008年まで主に外野手として活躍し、盗塁王のタイトルを3度、ゴールデングラブ賞を5年連続で受賞した。2009年に現役を引退後、コーチとして後進の指導。2015年に監督に就任すると、2016年から18年にかけてチームを球団史上初の三連覇に導いた。2019年に退任後、野球評論家などで活躍中。
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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