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昨シーズン日本人唯一の3割打者・近藤健介はなぜ打てるのか? 「投高打低時代」を生き抜くスイングとは (3ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 たしかに、打者はあくまでも受け身なのだ。その点、行木によれば、さまざまな計測機器で得られた数字も攻め手の投手には有効な反面、受け身の打者の場合、試合で投手を相手にした時点で、得られた数字をそのまま生かせなくなるという。これも"投高打低"の一因と見られるが、機器による数字も生かしにくいとなると、打撃コーチの仕事はどうなるのだろうか。

「いろんなタイプのバッターがいて、いろんな打ち方もあるので、コーチも引き出しを多く持つ必要があるのは確かです。計測した数字を見て指導するのも引き出しのひとつですが、それ以上に、今はちょっとした間とかタイミングの微妙なズレに気づいてあげられるほうが、大事になっていると思います。バッターの待ち方が変わらない以上、コーチの仕事も変わらないはずなので」

 変わらないといえば、この4年間で大きく変化のない打者の数字がある。それは、両リーグ通算の平均打率だ。2021年は.246、22年は.244、23年は.243、そして24年も.243と、ほぼ横ばいである。たしかに、2019年の.252と比べると1分近く下がってはいるものの、本塁打数の減少ほど顕著な落ち込みではない。単純に"打低"という言葉だけでは片付けられない側面がある。

【三振減の理由は2ストライク・アプローチ】

 一方、"打低"が進んでいるのであれば三振が増えていそうなものだが、実際にはそうではない。両リーグ合計の三振数を見ると、2021年は1万2603個、22年は1万2509個、23年は1万2430個、そして24年は1万1973個と、年々わずかずつではあるが減少傾向にある。2019年の1万3017個と比べれば、かなり少なくなっているのがわかる。

 本塁打が増えると三振も増えるという関係があるとすれば、その逆に、本塁打が減れば三振も減るという見方もできるかもしれない。ただ、打率がほとんど変わっていないという点を考えると、単純な因果関係だけでは説明しきれない部分もありそうだ。

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