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昨シーズン日本人唯一の3割打者・近藤健介はなぜ打てるのか? 「投高打低時代」を生き抜くスイングとは (4ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

「バッターのタイプにもよりますが、今は追い込まれるといろんなボールがくるので、打ち方を変える選手が多いです。"2ストライク・アプローチ"って流行りなんですけど、要するに、当てる、合わせにいくバッティングです。それに、初球から2ストライク後みたいなバッティングをする選手も増えています。あんまり強振しないで、コンパクトに、いろんなボールに対応しようと」

 2ストライク後は打ち方を変え、初球から2ストライク後のような打撃をする。「バッターは受け身」だからこその工夫によって打率は変わらず、三振の減少につながった可能性はある。

 また、ボールの内側(打者の体側)を打ちにいって、当たる確率を高めようとする打者も増えたとのこと。そうした打撃ができて高低にも対応できる打者が、今の時代に3割を打てるのだろうか。

「3割というか、今は以前の3割が2割8分ですから。2割5分だと以前の2割7分で、もうオッケーだと思います。それぐらい、今は率が下がっているので、僕らも2分ぐらい多く見積もっているんです。だから2割8分だと3割。現場ではそういうふうに変わってきていますし、打率2割8分で出塁率3割5分を目指したほうがいいという感じですね。3割打つことを目指すよりも」

 一球団に限った話だとしても、すでに現場では3割打者がいない前提とは衝撃的だ。だが、現実に昨年、楽天を含む9球団で3割打者はいなかった。そのうえで本塁打減もあって点が入りにくい以上、打つ以外に出る、出たら進塁してチャンスをつくる、チャンスで走者を還す、その確率の高さがより求められているとのこと。足を生かした盗塁、走塁の重要度も増していきそうだ。

「大事ですね、走塁。そういう点で言うと、宗山(塁)、村林(一輝)、小深田(大翔)はいろんなことができるから使われているんですよね。自チームを褒めるわけじゃないんですけど(笑)。もちろん、監督によって使われる選手のタイプは違いますが、今の時代はやるべきことがトータルでできて、バランスのいい選手が求められているのは確かだと思います」

(文中敬称略)

著者プロフィール

  • 高橋安幸

    高橋安幸 (たかはし・やすゆき)

    1965年、新潟県生まれ。 ベースボールライター。 日本大学芸術学部卒業。 出版社勤務を経てフリーランスとなり、雑誌「野球小僧」(現「野球太郎」)の創刊に参加。 主に昭和から平成にかけてのプロ野球をテーマとして精力的に取材・執筆する。 著書に『増補改訂版 伝説のプロ野球選手に会いに行く 球界黎明期編』(廣済堂文庫)、『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』(集英社文庫)など

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