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昨シーズン日本人唯一の3割打者・近藤健介はなぜ打てるのか? 「投高打低時代」を生き抜くスイングとは (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

「まさしく近藤も、高めと低め、両方のスイングができるんです。もともと両サイドを打つのが天才的にうまくて、低めも天才だったんですけど、高めにはやや苦労する傾向があったんです。それが、23年にソフトバンクに移籍してから高めの速球も打てるようになった。結果、ホームランが増えたんですよ(23年/本塁打王)。ただ、そのかわり三振も増えたんです(23年/自己最多117個)。

 もともと近藤は低めケアで打っていたので三振は少なかったんですが、高めを打つためには低めを捨てなきゃいけないところもある。すると当然、空振りのリスクはあるんです。それでも近藤は、長打を増やすために高めを打てるようにした。日本ハム時代は巧打者だったのがパワーヒッターに変わってきた感がありますが、彼が一番、今の時代に対応していると思います」

"投高"に対応するには何かを捨てるなど、思い切って打撃を変える必要もある、ということか。それにしても、近藤レベルの打者はなかなかいないわけで、「捨てる」「変える」などまったく簡単には言えない。

「でも、これから近藤のようなバッターは増えると思いますし、高低に対応できるのはうちの村林(一輝)もそうなんです。現に、今のところ打率も3割を残せています。あと、今年のルーキーのバッターはレベル高いですよね。これはうち(楽天)の宗山(塁)もそうですけど、高めのスイングができるんです。西武の渡部聖弥、オリックスの麦谷(祐介)も高めの球をカチーンと打つので、ある程度、率が残るんですよ。若手では西武の西川(愛也)もそうですね」

【両リーグ通算の平均打率は横ばい】

 新人、若手が、時代に対応する可能性を秘めるというのは無条件でいいと思える。その点でひとつ言えるとしたら、高低の攻めに対応できるバッターが"打高"へのカギを握るということだろうか。

「すごく重要になると思います。高めと低め、両方スイングできればいいなと。ただバッターって受け身で、そうやっていろんなスイングができればいいんですけど、根本の『タイミングを取る』とか『間(ま)を取って変化球を拾う』とかは、時代が変わっても変わらないんじゃないかと。ピッチャーのレベルも投げるボールも変わってますけど、バッターの待ち方は変わらないわけで」

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