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【プロ野球】巨人の新エース候補・井上温大インタビュー 内海哲也の助言による飛躍と、日本一への決意 (3ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文text by Shiratori Junichi

【課題を克服して2桁勝利、日本一へ】

 2025年シーズンへの決意を語った左腕がキャンプで磨きをかけたのは、「先発として試合を作るためのピッチング」だ。

「昨年は長打を打たれて大量失点につながってしまったこともありましたが、今年はそれを極力減らしていきたい。そのためには、2ストライクまで追い込んだ後の"空振りを取れる球種"をもっと磨いて、ピンチの場面で三振を奪ったり、試合の要所を抑えられるようにしていく必要があると思っています」

 そのためにキャンプで取り組んでいたのは、昨年の対戦打率が.270と課題が残った対左打者(右打者の打率は.205)対策だ。

「昨年の前半戦は、左打者のインコース攻めに苦労していて、アウトコースに踏み込まれて打たれてしまう場面がありました。僕はスライダーのような変化球をあまり得意としていないので、左打者の内角に的確なボールを投げられるように意識しています」

 昨オフには、長く巨人のエースとして活躍し、昨季は15勝(3敗)で4度目の最多勝、2度目の最高勝率のタイトルを手にした菅野智之が、MLBのボルティモア・オリオールズに移籍。楽天から、経験豊富な田中将大が加入したことは大きいが、井上を始めとする若手投手の成長なくして、連覇は成し得ないだろう。

「投手陣は実力の拮抗した若手が多く、切磋琢磨しながら高め合える環境が整っているように感じています。特に、同級生でもある堀田賢慎、西舘勇陽とは、野球だけでなく、流行しているYouTube動画などの話もしつつ、刺激し合いながら過ごせていますね。個人としては、規定投球の到達と2桁勝利を目標にしていますが、みんなで力を合わせて日本一に向けて頑張っていきたいと思っています」

 春季キャンプを順調に過ごした井上は、開幕先発ローテーション入りが確実視されている。幾多の苦労を乗り越え、頭角を現した6年目のサウスポーは、今季にエースへの階段を登ることができるのか。真価の問われるシーズンが幕を開けようとしている。

(浅野翔吾:涙のエラー後の阿部慎之助監督のハッパ「もう一回、コケてこい!」インタビュー>>)

【プロフィール】

井上温大(いのうえ・はると)

2001年5月13日生まれ、群馬県出身。身長175cm、投手。左投左打。前橋商業高校で1年時からベンチ入りし、主力投手として活躍。甲子園出場は果たせなかったが、3年夏には背番号1を背負ってチームを県大会の決勝まで導くなどして注目を集めた。2019年のドラフト4位で巨人に入団。2021年に左ひじの手術を行ない、育成選手として再契約するも、翌年には再び支配下登録された。昨年は一軍で25試合に登板し、8勝5敗2ホールドでリーグ優勝に貢献。今季は先発投手陣の主軸の一角としての活躍が期待される。

著者プロフィール

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