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【プロ野球】平野佳寿が吉井理人から学んだ虚勢を張る大事さ 「堂々とベンチに帰ってこい!」 (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 失敗の原因がわかったところで、おもに技術的な原因が判明し、その対策が見えるに過ぎない。次の機会に抑えて結果を出すまでは、メンタル面のマイナスをプラスに転換することはできないのだ。

【弱さを見せないことの大切さ】

 では、抑え失敗でチームの勝ちを消し、先発投手の勝ち星を消してしまうことに関してはどう受け止めてきたのか。

「受け止めるというか、一番にそれがあるから落ち込むわけで......。ほんまに申し訳なかったなあと思いますし、『ごめんね』って言って。でも、それはあくまでチーム内であって、絶対に外では発信しないようにはしています。『誰が悪いねん、打たれる時もあるやろ』くらいの感じではいようと思っています」

 実際、見た目の印象では、平野といえば"強心臓"だ。自ら絶体絶命のピンチを招いても平然と締める様は『平野劇場』とも言われ、打たれて負けたところで、マウンド上で悔しがり、ベンチに帰る時に落ち込む姿はまず見られない。

「そうでもないんですよ。強心臓=メンタル強いっていうのは、メンタル強いから抑えられるんじゃなくて、僕からしたら抑えている人がメンタル強く見えるだけなんです。決して、自分でメンタル強いと思ってないです。ただラッキーなところは、僕がたぶんそういうふうに見られなかったっていうのがあるのかなと。僕の顔の特徴とかもあると思うんですよ(笑)」

 そう言って平野は相好を崩した。つられてこちらも吹き出してしまったが、すぐに真顔に戻って続けた。

「でも、弱さを見せないようにはします。淡々と投げて、悔しがっているとか、落ち込んでいるとかはわからないように。内心は『申し訳なかったな』っていう気持ちもありますけど、それぐらいの虚勢張らないとやっていけへんっていうのもあります。そういうことはすべて、ロッテの吉井監督が現役の時に教えてもらいました。僕が1年目の時に」

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