日本シリーズの経験を糧にDeNA松尾汐恩、勝負の3年目 「レギュラー争いに入っていけるように」 (2ページ目)
「小さい頃からいつかは立ちたいなと思っていた場所でしたし、あそこに立ってあらためて感じたのは、たくさんのファンの方々に応援されているんだということでした。本当に感謝ですね。もう一度立つために頑張るんだという気持ちも強くなりましたし、今シーズンはたくさん立てるようにしたいです」
【戸柱から学んだ観察力の大切さ】
では、キャッチャーとしてはどうだったのか。昨季は4試合でスタメンマスクを被った。
「やはりファームとは違う緊張感がありました。当然、バッターのレベルは高いので、なにを考えて打席に入っているのか、観察力が試されました。でも最初は考える余裕はなかったんですけど、経験が増えるにつれ、自分のなかの発想力だったり、野球観というものをぶつけていこうと思いましたし、引き出しも増えたのではないかと思います。冷静に、いろいろ考えながらやっていけるのではないかと手応えも感じました」
頼もしい表情で松尾は言った。DeNAの捕手陣はレギュラーの山本祐大をはじめ、ポストシーズンで力量を見せつけた戸柱恭孝、経験豊富なベテランの伊藤光らがおり、リーグきっての層の厚さを誇るが、今季、松尾はここにしっかりと割って入っていかなければいけない。
バッティングに関してはファームで打率.326という数字を残し、三振も少なく、かつミート力の高さを見せつけた。イースタン・リーグの首位打者獲得の可能性もあったが、9月上旬のファーム戦でスライディングの際に右手首を痛め戦線離脱をしてしまう。
2024年シーズンはここまでかと思われたが、松尾はあきらめることなく治療に努め、ギリギリのところで間に合い、10月2日に一軍登録されると、そのままポストシーズンに帯同された。
初体験となった怒涛のポストシーズンでは、ここ2年一緒に自主トレをしている戸柱とともに行動した。下剋上を狙うチームをけん引する戸柱の姿に松尾は深い感銘を受けたという。
「やっぱり人をよく見ているなって。だからその都度、ピッチャーにいいアドバイスを送れますし、観察力の大切さをあらためて学びました。一緒に食事をして話す機会も多かったのですが、『そこまで見てるんや?』という細かいところまで見ていて、戸柱さんは本当に隙がないんですよ」
2 / 4