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古田敦也全盛期の牙城を崩した西山秀二 食券提供の南海から高級車が並ぶ広島へトレードで「これがプロ野球や!」と喜んだ (4ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 93年からの5年間は、盗塁阻止率も4割前後と高かったですね。

西山 古田さんの盗塁阻止率が突出していましたが、その5年間については自分で言うのもなんですが、よかったです。そんなに強肩というわけではなかったですが、捕球してから送球するまでが早かったと自負しています。

【歴代広島の捕手で唯一の記録】

── 96年は、打撃ベストテン8位の打率.314をマークしました。広島の歴代捕手で、規定打席到達で3割を残したのは、いまだ西山さんだけです。

西山 山本一義コーチが「規定打席到達で打率3割を一度やってみろ。世の中のおまえを見る目が変わる」と励ましてくれました。最後の最後、三村敏之監督に「観客への顔見せで代打に行け!」と言われ打席に立ったのですが、凡打に終わって打率が下がりました。あれがなければ松井秀喜(当時、巨人)より上だったのに......悔しかったですね(笑)。

── 西山さんは左足を上げたあと、ひと握り短く持ったバットを「小さな円を描くようにスイングする」独特の打ち方でした。

西山 入団した時、(高校野球の)金属バットから(プロの)木製バットになって、本塁打を量産するのは難しいと感じました。とにかく芯で捉えることを第一に考えていたのですが、詰まったら痛いし、バットも折れる。詰まりそうな瞬間、バットのヘッドをずらすことを覚えたんです。それが右打ちの始まりです。いわゆる「左ヒジを抜く」感覚ですね。基本はストレート待ちで、変化球は拾って打つタイプ。でも、たまにヤマを張って打つ時もありました。

── 96年の広島打線は野村謙二郎さん、前田智徳さん、緒方孝市さん、江藤智さん、金本知憲さんなど生え抜き選手を軸に、西山さん、さらにこの年から加入したルイス・ロペスさんなどチーム打率.281の超強力打線で、「ビッグレッドマシン」と呼ばれていました。

西山 3割打者が5人もいるなど、超強力打線でした。前半戦から順調に勝ちを重ねていったのですが、江藤が右目に打球を当てて戦線離脱。前年15勝を挙げたロビンソン・チェコが4勝に終わるなど、巨人に最大11.5ゲーム差を逆転される「メークドラマ」を許してしまいました。残念ですし、今でも悔しいです。

つづく>>


西山秀二(にしやま・しゅうじ)/1967年7月7日、大阪府出身。上宮高から85年のドラフトで南海から4位指名を受け入団。プロ2年目の87年シーズン途中、トレードで広島に移籍。広島では94年、96年にベストナイン、ゴールデングラブ賞をそれぞれ獲得。リーグを代表する捕手として活躍。2004年オフに巨人に移籍し、05年の1年間プレーし現役を引退した。引退後は巨人、中日のコーチを歴任。現在は評論家として活躍している

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