急遽、鎌ヶ谷に呼び出された鍵谷陽平は「ジャイアンツです。よろしいですか?」とトレードを宣告された (2ページ目)
── 覚えている試合はありますか?
鍵谷 その感覚に一番近かったのは、2014年のクライマックス・シリーズ(CS)ですね。あの時はシーズン3位でCSに進んで、ファーストステージでオリックス、ファイナルでソフトバンクと戦ったんですけど、ほとんどが150キロ超えで理想のボールに近かった。ほんと絶好調でした。
── 球速もですが、ボールの質という部分でもですか。
鍵谷 質も、ですね。その翌年もよかったんです。2015年の開幕から数試合は、その感覚に近かったんです。その時はまだ近藤(健介/現・ソフトバンク)がキャッチャーをやっていました。印象に残っているのは、開幕のイーグルス戦です。(大谷)翔平が6回途中まで0点に抑えて、そこから継投に入ったのですが、(マイケル・)クロッタが8回に(ゼラス・)ウィーラーにホームランを打たれて1点差になったんです。
さらに2本のヒットを打たれたところで、急遽、僕がマウンドに上がることになったんです。6番が松井稼頭央さん、7番が後藤光尊さんという並びだったのですが、セカンドゴロと三振に抑えてピンチを切り抜けました。あの時は僕とコンちゃん(近藤健介)の意思がガッチリ噛み合って、全球パーフェクトに投げることができました。コンちゃんは覚えているかわからないですけど(笑)......今でもはっきり覚えています。
【予感的中で巨人にトレード】
── ファイターズという球団はどうでしたか?
鍵谷 良くも悪くもブレないという感じですね。でも「ファイターズはこうだよね」という根っ子の部分は変わらないだけだから、「じゃあ、それに合わせてオレらがやるしかない」という考え方もできるので、やりやすかったです。
── 2019年のシーズン途中の6月28日に、トレードでジャイアンツに移籍しました。シーズン中でしたが、「トレードされるかも」みたいな雰囲気はあったのですか?
鍵谷 その年、10試合連続無失点とかもやっているんですが、打たれた試合はめちゃくちゃ点を取られて......だから防御率は悪かったはずです。トレードの時は、ヤクルト戦で戸田にいたんです。そしたらいきなり「鎌ヶ谷に戻って」って言われて。その日投げていないのに「このタイミングで?」ってロッカーで話していたんです。鎌ヶ谷行きを言われたのが僕と藤岡(貴裕)さんだったんです。「これ、トレードあるよ」と笑いながら言っていたら、ほんとにトレードでした。
2 / 3