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佐々木朗希がメジャーで活躍する可能性を清水直行が語る 結果を残すための課題は? (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――メジャーは過密日程なうえに登板間隔が短くなりますし、ピッチクロックなども含め、故障する要因が多くなる印象です。

清水 佐々木のメジャー挑戦は"一長一短"があると思います。悪いほうから言うと、メジャーでは中4日、中5日は当たり前ですし、レギュラーシーズンが162試合あるなかで先発ピッチャーの登板数を考えたら、かなり投げることになる。そういった先発ピッチャーに対して、球団は高い金を支払うわけです。佐々木はプロ5年間で一度も規定投球回を投げられていないわけですし、いきなりメジャーのローテーションで回るのは無理だと断言します。

 一方、いい部分について。これは逆転の発想なのですが、日本は先発の球数が多くなりがちで、勝負が遅く、作戦も増えますよね。佐々木のピッチングスタイルは、近年は球数が増えましたが、基本的にはひとりの打者に対して3球くらいで勝負してきた。そのピッチングスタイルを取り戻して追求していくのであれば、適しているのはメジャーのほうかなと。

――ピッチングスタイルがマッチする可能性があるということですね。

清水 ただ、メジャーのバッターは攻撃的にどんどん振ってくるので、ボールの質をどんどん上げていかないといけない。日本は守りが重視されますが、メジャーは「どれだけ点を取るか」という野球なので。

 それと、日本では完投、沢村賞などが先発ピッチャーの評価基準というか、"最初から最後まで投げる"という風潮が残っていますが、メジャーは完全に分業制。佐々木はもしかしたら、60球台で7回まで投げられるかもしれませんし、マッチする可能性はあるのかなと。

【メジャーで活躍するための課題】

――とはいえ、シーズンを通してローテーションを守るのは厳しい?

清水 そうですね。慣れていくうちに佐々木のピッチングスタイルがマッチする可能性はあると思いますが、やはりローテーションを守ってシーズンを完走するのはまだ厳しいんじゃないですか。

 ポスティングシステムのルール上、まずはマイナー契約からですし(メジャーの球団が25歳未満もしくはプロ6年目未満の海外の選手を獲得する場合、契約金や年俸の総額が制限され、入団時にマイナー契約しか結べない)、年齢を重ねていくごとに体を仕上げていき、3年後ぐらいにフルローテーションで回すイメージなんじゃないかと。そういうプランがある球団が合うはずです。メジャーに上がって何年の契約ができるのかはわかりませんが、彼の体の強さ次第だと思います。

――体力的な部分をお聞きしてきましたが、技術的には十分にやっていけそうでしょうか。

清水 十分にやっていけると思うのですが、今季投げていた真っすぐの質は、以前に比べて落ちている感が否めません。また、変化球を見極められてしまい、最後に真っすぐを投げるとなった時に、そこまでコントロールがいいピッチャーではないので苦しくなる。そういう点も含め、真っすぐの質は磨いていかなければいけません。

 それと、3年ほど前は真っすぐとフォークでピッチングを組み立て、後からバッターの目先を変えるためにスライダーも多く織り交ぜるようになり、ピッチングの際の体の動きも変わってきたと思うんです。それに伴い、真っすぐの回転数や伸びなども変化してきたと思いますが、それらを一度リセットして、メジャーのボールにアジャストしなければいけないので相当な努力が必要だと思います。

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