【プレミア12】井端ジャパンがアメリカを圧倒 小園海斗は2本塁打、7打点の活躍にも「ホームランが出ているのはちょっと怖い」 (3ページ目)
【小園海斗が語る好調の理由】
前向きにスイングを仕掛けていけるのは、状況を見極めて頭のなかが整理できているからでもある。3対1で迎えた7回、一死一塁からアメリカは6番手のゼイン・ミルズに交代すると、1番・桑原将志(DeNA)に死球で一、二塁。つづく小園に2ボールとなると、アメリカのピッチングコーチがマウンドに走った。
小園は打席を外してひと呼吸入れ、自分のやるべきことを見つめ直した。
「ボール、ボールになっていたので『甘い球は絶対に逃がさないように』という思いで待っていましたね」
チャンスで突然の間(ま)ができたが、打者としてどう感じるものだろうか。
「特に......すいません(笑)。次の球に集中していました」
自分の世界に入り込み、3ボール1ストライクからの5球目、真ん中高めに来た144キロのフォーシームをライトスタンドに運んだ。
そして1点を加えた8回二死一塁で再び打席が回ってくると、1ボールからの2球目、143キロのストレートが外角高めにやや甘く入ると再びライトスタンドへ。2打席連続本塁打で試合を決めた。
「ホームランが出ているのはちょっと怖いんで、明日は基本に忠実にいきたいなと思います」
小園はアメリカ戦を終えて打率.417と好調の自身について、謙虚に話した。対して、井端監督はこう称えている。
「2本のホームランは予想していなかったですけど、彼の一番の魅力は初球から打てることだと思います。右左関係なく、どのピッチャーでも合わせられる技術がありますし。状況に応じて、特にランナーを置いた場面でのバッティングは球界でもトップクラスだと思っています。2番というところでいい仕事というか、今日に限っては100点だと思います。これからも彼らしく、初球からどんどんいってくれればいいなと思います」
試合序盤は相手先発ヒルの老獪なピッチングに沈黙させられたが、投手交代のタイミングで一気呵成の攻撃を仕掛け、終わってみればアメリカに9対1で大勝。投手陣もソロ本塁打のみの1失点に抑え、攻守に持ち味を発揮した侍ジャパンが大きな勝利を手にした。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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