名手・荒木雅博が語る 山川穂高のGG賞初選出の妥当性「及第点どころか、ファーストミットの使い方など一級品」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

【宗佑磨を抑えて初受賞・栗原陵矢の守備力】

── 中村奨吾選手(ロッテ)と外崎修汰選手(西武)が交互に受賞していたセカンドは、小深田大翔選手(楽天)が初受賞です。

荒木 小深田選手はもともと遊撃手で、機敏な動きで打球を処理する選手でしたが、コンバートされた二塁のポジションは、2年目でハマりましたね。楽天の本拠地は土のグラウンドですが、よく守ったと思います。

── 三塁は栗原陵矢選手(ソフトバンク)が初めて選出されました。

荒木 常連だった宗佑磨選手(オリックス)が不振で、出場機会を大きく減らしました。ほかにも中村奨吾選手(ロッテ)や浅村栄斗選手(楽天)がセカンドからサードへコンバートされ、郡司裕也選手(日本ハム)も初めて守ったシーズンでした。そんななか、栗原選手が初めて受賞しました。

 栗原選手は捕手としてプロ入りしましたが、打撃を生かすために野手に転向。三塁だけでなく、外野や一塁を守ったこともありました。三塁の守備はかなり努力したのだと思います。日本シリーズでも堅実な捕球と送球、守備に対する高い意識が見てとれました。ソフトバンクは打つイメージがありますが、栗原選手をはじめ、牧原大成選手、周東佑京選手など守備力があって、かつ複数ポジションを守れる選手がいるなど、守り勝つ意識の高いチームです。

── ショートは源田壮亮選手(西武)が今宮健太選手(ソフトバンク)を抑えました。

荒木 源田選手は143試合で守備機会551、失策4の守備率.993(リーグ1位)。今宮選手は132試合で守備機会504、失策4の守備率.992。票数も割れたみたいですが、差はありません。源田選手が無駄のない足の使い方が特徴で、動きがシンプルです。今宮選手は強肩を武器とし、三遊間の深いところから矢のような送球が魅力です。

【76年ぶり日本記録更新の辰己涼介】

── 外野は、まず辰己涼介選手(楽天)が4年連続4度目の受賞です。

荒木 1948年に巨人の青田昇さんが記録した391刺殺を76年ぶりに更新する、刺殺397の日本記録を樹立しました。俊足はもちろん、打球判断、球際の強さなど、すべて兼ね備えていないとこの数字は残せません。辰己選手は肩も強く、試合解説をしていても「辰己のところに打球が飛んでくれると面白い」と、ワクワクさせてくれる選手です。

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