栗山英樹が痛感した変わりゆく野球界 「もうデータではなく、サイエンスの時代になっている」 (3ページ目)
侍ジャパンメンバーの、その後の活躍を一番楽しめているのは私かもしれません。翔平はもちろん、ダルビッシュも吉田正尚もラーズ・ヌートバーもメジャーリーグですばらしい活躍をしてくれています。
2024年に移籍した今永と松井裕樹(東北楽天ゴールデンイーグルス→パドレス)もそうですね。今永ともヌートバーとも話をしましたが、みんな、「WBCの体験が大きかった」と言っています。
2023年シーズン開幕前のWBCに出てもらうにあたって、みんなに無理をさせたことは間違いない。それでも出場してくれたことが彼らの力になり、野球界のためになったのだとすれば本当にうれしく思います。
侍ジャパンのメンバーとしてともに戦った期間は決して長くはなかったですが、10年間一緒だったファイターズの選手たちと同じくらいの濃さがあったように思います。かけがえのない仲間です。
監督の私よりも、選手たちのほうがプレッシャーを感じていただろうと思います。「自分のせいで負けたらどうしよう」と誰もが思ったはず。準決勝のメキシコ戦で先発マウンドに上がった佐々木朗希も、決勝で投げた今永もそう。彼らは苦しいところで踏ん張り、難関を乗り越えていった。
あれを経験したことで、さらに大きな勝負にいった時に自分らしくプレーができるようになったのもかもしれません。滑るボールに悩まされた松井も、それを克服してメジャーで頑張っています。
苦しみながらも苦労して準備したことを大きな舞台で試した、その経験が彼らの人生に役立っているとしたら、これほどすばらしいことはありません。
【勉強しない者はついていけなくなる】
──侍ジャパンの監督の任期を終えた栗山は2024年1月、ファイターズのチーフ・ベースボール・オフィサーに就任した。創設50年目を迎える球団の基盤強化・発展と、チームの編成強化を推進するために新設されたポストだ。現在は球団運営とチーム編成の両方の役割を担っている。
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