【日本シリーズ2024】ソフトバンク・山川穂高が振り返る好機での凡打 「何年やってもコンマ何ミリの差」 (3ページ目)
ソフトバンクはレギュラーシーズンで、34発で本塁打王となった山川を筆頭に、チーム114本塁打をマークした。これは12球団トップの数字である。
CSファイナルは周東が言うように、本当に一発攻勢で流れを一気に手繰り寄せた。第1戦は今宮健太、栗原陵矢、山川のソロ3発で5対2と勝利し、第2戦は近藤健介の勝ち越し2ランと山川の2打席連発でとどめを刺した。あれだけ勢いづいていた日本ハムを、文字どおり力でねじ伏せたのである。
だが、日本シリーズのここまで4試合で、ソフトバンクの本塁打は第2戦で山川が放った1本のみなのだ。一方でDeNAには福岡にやってきてからの2試合で3本塁打が飛び出している。しかも、すべて効果的な一発だった。
小久保裕紀監督は「いや、まあまあ。そんなに簡単にホームランは出ないですよ」と試合後、努めて明るく話した。村上隆行コーチにもコメントを求めると「相手ピッチャーの力もあるし、ホームランの打てないところにきっちり投げられている。ただ、それを何とか打っていかないと」との言葉が返ってきた。
期待の4番打者は何を思うのか。
山川は「僕の野球経験上」と前置きしたうえで、このように言葉を継いだ。
「打席の直後はすごく悔しい気持ちになりますけど、でも家に帰ったあととか、試合後のロッカーで、あの時に『ああだった』『こうだった』と振り返っても、何もできないんですよね。なので、また明日、自分のベストスイングを心がけて、やり返せたらっていうだけなんです」
長距離タイプではないが、今宮にも話を聞いた。
「簡単に打てるピッチャーでなかったのは事実です。でも、やっぱりもっとガツガツしてやっていかないといけないのかなというのは感じますね。チーム全体として。そんなに連打が出る形にはならない」
山川が言うように、短期決戦だからこそ切り替えがより大事になる。そして今宮の言葉も、的を射ていた。
勝ったチームが日本一に王手をかける重要な第5戦。ソフトバンク打線から待望の一発がどこで飛び出すのか。勝負のポイントとなりそうだ。
著者プロフィール
田尻耕太郎 (たじり・こうたろう)
1978年生まれ、熊本市出身。 法政大学で「スポーツ法政新聞」に所属。 卒業後に『月刊ホークス』の編集記者となり、2004年8月に独立。 九州・福岡を拠点に、ホークスを中心に取材活動を続け、雑誌媒体などに執筆している。
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