【ドラフト 2024】名物記者が徹底紹介する隠し球5人。 逆輸入打者など注目の素材型も (5ページ目)
【独立リーグで覚醒した最速159キロ本格派右腕】
菊地 最後に紹介するのは、四国アイランドリーグの徳島インディゴソックスに所属する工藤泰成投手です。同チームからは11年連続でドラフト指名選手が出ていて、昨年も6人名前が呼ばれたのですが、今年も間違いなくプロ入りする選手があらわれると思います。その筆頭候補として僕が楽しみにしているのが工藤投手ですね。
加藤 徳島インディゴソックスって、入団した選手がものすごい成長を遂げるというウワサをよく聞くんですよ。怪物を生み出す"モンスターファクトリー化"していると。徳島ではなにが起きているんですかね?(笑)。
菊地 たしかに"虎の穴"になっていますね。最速140キロのピッチャーが徳島に入ったら、たった1年で最速155キロになっているような事例が多々あります。工藤投手もそうです。東京国際大学時代に直接試合を見た時の球速は145キロほどで、コントロールはあまりよくなく、カットボールが多少いいかな、と思うぐらいのピッチャーでした。それが1年後、徳島に入団したと聞き、独立リーグの試合を見に行ってみたら、最速159キロとめちゃくちゃ速くなっていて。「本当に同一人物か!?」とびっくりしましたよ。なかには球速ほど速く感じないピッチャーもいますが、工藤投手はスピードガンの数字どおり、もしくはそれ以上の体感速度を感じました。加えて変化球もよく、コントロールもシーズンを通して段々よくなってきているので、上位で指名される可能性もあるんじゃないかと。
加藤 いいね! 徳島にはしっかりとした育成プログラムがあるのかもしれないですね。
菊地 社会人野球の都市対抗も見ましたけど、正直、工藤投手ぐらいのストレートを投げているピッチャーはいませんでした。まっすぐだけで言えば、社会人野球、独立リーグのなかでは抜けた存在だと思いますね。ぜひ注目してほしいです。
加藤 ここまで5人の"隠し球"を紹介しましたが、ほかにもたくさんいそうですね!
菊地 めちゃくちゃいますよ。今回の"隠し球"はまだまだ序の口です。本番では、おそらく僕らもまったく知らない選手も出てくるはず。そういったプロのスカウトマンとしての矜持を示してくれると思うので、10月24日のドラフト会議、ぜひ見ていただきたいです。
加藤 球界の未来を担うような選手がどれだけ出てくるのか。本当に楽しみですね!
構成/佐藤主祥
【Profile】
加藤弘士(かとう・ひろし)/1974年4月7日、茨城県水戸市生まれ。97年に報知新聞社入社。03年からアマ野球担当記者。現在は編集委員。著書に「砂まみれの名将 野村克也の1140日」「慶應高校野球部」(ともに新潮社)
菊地高弘(きくち・たかひろ)/1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数
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