【ドラフト 2024】名物記者が徹底紹介する隠し球5人。 逆輸入打者など注目の素材型も (4ページ目)
【育成枠で指名あるか「伸び代しかない」県立高の最速145キロ右腕】
加藤 僕も気になるピッチャーがいまして。太田西山(せいざん)高校という茨城の県立高校にいる関景介投手です。体格は175cm、75kgと大きいわけではありませんが、いいストレートを放るんですよ!
菊地 この夏にかけて成長した、知る人ぞ知る選手ですよね。
加藤 高校入学時は最速113キロだったのですが、この約2年間で球速32キロ増。いまでは最速145キロまで出ると......なんだそれは!? 伸び代しかないじゃないか! 自分で説明していてもびっくりしちゃいますよ(笑)。加えて、指先の感覚が優れていて、どんな変化球も投げられる多彩さも持ち合わせていると。とはいえ完全な素材型で、ドラフトで指名されたとしても育成枠だとは思います。ただ、伸び代しかないという意味では、「育ててみたいな〜」と思わせるピッチャーなんですよね。そもそも太田西山野球部は創部6年目と、歴史はまだまだ浅いです。でも、そんな実績もない県立高校からプロ注目の選手が出てくるというのも、日本の野球文化の豊かなところ。ぜひプロに進む姿を見てみたいですね!
菊地 超一流になる選手って、失礼ですが「え、どこにあるの?」と思ってしまうような高校から出てくることがあるじゃないですか。たとえば、千賀滉大投手(メッツ)も蒲郡高校という全国的に無名な高校出身でしたし。
加藤 名古屋のスポーツ店を営んでいる方が、ソフトバンクのスカウトに「蒲郡高校にすごいピッチャーいるよ」と連絡したことがきっかけで、育成枠で指名されるまでに至ったんですよね。このウルトラ情報化社会のなかで、ほっこりする話じゃないですか(笑)。
菊地 そういう意味では、どこで情報を掴めるか、その情報を信じることができるのか、というのはスカウトにとっては難しくもあり、重要な部分ですよね。当時は育成枠のあるチームが限られていたこともありましたが、ソフトバンクは「千賀投手を育てよう」という気持ちがあったからこそ指名に至ったわけで。そう思ってくれるチームに関投手が巡り会えるかどうかも大きなポイントですよね。
加藤 そうですね。ドラフト下位から育成にかけての指名は、「僕らは今後、こういうチームを作っていきますよ」というファンに対する"所信表明"。球団における将来のビジョンを示すことになるわけですから。
菊地 だから関投手を獲得すれば、「うちは彼を育てていくよ」という我々へのメッセージになる。果たしてそういう球団があらわれるのか。楽しみですね。
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