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【ドラフト 2024】名物記者が徹底紹介する隠し球5人。 逆輸入打者など注目の素材型も  (2ページ目)

【慶応高→米大学進学で開花した異色の経歴を持つ"隠し球"】

加藤 僕が紹介するのは、ノースカロライナA&T州立大学の根岸辰昇選手。左投げ左打ちで、広角に打てるミート力に優れたバッターです。経歴が面白くて、中学受験から慶応の中等部に入学して、もちろん高校も慶応なんですけれども、普通に考えたら大学もそのまま慶応大学に進むと思うじゃいないですか。

菊地 そのために中高、慶応に通っているようなものですからね。

加藤 でも根岸選手は「俺はアメリカに憧れがある」と言って、慶応大学に行かずにアメリカの大学で野球をやるという......完全に発想がおかしいでしょ!?(笑)。慶応高校の森林貴彦監督に相談したら「お前、本当に(アメリカ)行くのか!?」ってびっくりされたらしいです(笑)。

菊地 正気か!? っていう。

加藤 でも、根岸選手がすごいのは、実際に渡米して大学1年時の2021年からアメリカ大学野球リーグの最高峰「NCAAディビジョン1」でプレー。4年目の今年は打率.371、8本塁打、37打点と大活躍しました。なかでも、出塁率と長打率を足し合わせた「OPS」は驚愕の1.065。同リーグでプレーした歴代の日本人選手のなかで史上最高の数字です。YouTubeの動画を見ても、バッターとしての能力はすごいと思います。けれど、それ以上に根岸選手を獲得しておくメリットとして大きいのは、「アメリカで過ごした経験」にあると思っていて。

菊地 というと?

加藤 各球団、外国人選手の補強やケアって大変じゃないですか。外国にいる現地スカウトの一押しで獲得しても、フタを開けたら三振ばかりする選手だったり、制球力が全然ない投手だったり。プレー以前に、チーム内に話し相手がいなくて孤立してしまう選手もいます。それを考えた時に、根岸選手がいればコミュニケーションを取ってくれるし、悩み相談にも乗ってもらえる。引退後も、球団の国際スカウト業務に携わって、外国人スカウトに欠かせない人材にだってなり得ます。僕が編成のトップだったら、絶対に取りに行きますね!

菊地 たしかに通訳いらずですし、経歴だけ見ても、いろんな"血"が入った方がチームとしても面白くなりますからね。

加藤 そうそう。チームの多様性を高めてくれて、球団の価値を上げてくれる選手なんじゃないかと。

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