里崎智也と五十嵐亮太は低迷した西武をどう見た? 主力のFA移籍と補強問題、今後の再建計画を語り合った (2ページ目)

  • 長谷川晶一●文 text by Hasegawa Shoichi

五十嵐 開幕前から「打つほうはそこまで見込めないけど、ピッチャーがいいから接戦を制することができる」「先発ピッチャーがいいから接戦に持ち込めるし、後ろもしっかりしているから逃げ切れる」という勝ち方がイメージできました。誤算は外国人でしたね。ここ数年の西武は「外国人頼み」という傾向が強くて、そこがうまくハマれば上位にも食い込める。でも、そこが機能しなければ下位に低迷するというチームでしたからね。

里崎 相手チームに研究されると、途端に結果が残せなくなって、途中からはアンソニー・ガルシアが出ていましたね。ヒゲの感じが似てたから「えっ、コルデロがまた出るようになったのか?」と思ったよ(笑)。

五十嵐 その分、若い選手の飛躍を期待したけど、日本ハムのようないい新陳代謝は見られないまま、ズルズルとシーズン終盤まできてしまった。そんな印象が強いですね。

■FAで主力選手が流出したあとの、補強や育成が追いついていない

里崎 西武の場合、単に「流出のスピードに育成が追いついていない」ということだけ。仮にFA制度がなかったら、西武は最強だったでしょうね。でも、昨年は首位打者の正捕手・森友哉が抜けて、今年はホームラン王・山川穂高が抜けてと、2年連続で主軸がいなくなったわけです。「主力レベル」ではなく「日本代表クラス」が抜けたわけだから、かなり痛いですよ。

五十嵐 ここ数年だけでも、2018年に浅村栄斗と炭谷銀仁朗、2019年に秋山翔吾がFA移籍していますから。主軸がごそっといなくなっていますよね。

里崎 細川亨、炭谷、森と、正捕手が3代続けてFAしているのは西武だけ。野手陣だけじゃなくて、投手陣でも岸孝之が楽天に移籍して、菊池雄星はメジャーに行った。投打の主軸がバンバン移籍して抜けていくわけですから、補強、育成で補おうとしても、さすがに追いつかないです。

五十嵐 もちろん他球団も、FA制度によって選手の流出はあるけど、確かに西武の場合は多すぎますよね。

里崎 ただ他球団の場合は、近藤健介がソフトバンクに移籍した時、日本ハムには松本剛と万波中正がいた。あと、山﨑福也が日本ハムに移籍したオリックスにも田嶋大樹がいて、若い曽谷龍平も台頭してきていた。次の用意ができつつある状態で抜けているけど、西武の場合はそうじゃない。ある意味"自転車操業"で、「ベッケン」こと渡部健人、蛭間拓哉をドラフト1位で獲得したけど、その成長が追いついていないよね。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る