高木豊がさらなる飛躍を期待するパ・リーグの若手4選手 勝負強いソフトバンクの新6番、西武のエース候補も (3ページ目)
――変化球の精度はどうですか?
高木 低めに丁寧に投げていますし、ピッチングをよく知っているなと思います。オリックスの山下舜平大も同じような体格ですが、彼の場合はちょっと不安定。渡邉はコントロールもいいし、しなやかさがあります。投げるスタミナ、精神的なスタミナも持ち合わせていますし、近い将来のエース候補だと思います。
――ほかに注目している投手はいますか?
高木(楽天の球団記録である)28試合連続無失点を継続中の鈴木翔天(そら/6年目)です。これは大変な数字だと思うのですが、どうしてもソフトバンクのダーウィンゾン・ヘルナンデスや、ロッテの鈴木昭汰の無失点記録のほうが取り上げられがちです。なので、すでに実績がある投手ではありますが、スポットを当てる意味も込めて楽天の鈴木をプッシュしたいと思います。
※8月14日時点の成績・・・35登板、2勝0敗、15ホールド1セーブ、防御率1.02、奪三振率8.92
――ピッチングの特徴は?
高木 とにかくマウンドで落ち着いているので、安心して見ていられます。あとは、スライダーのキレや精度が抜群ですね。真っすぐの平均球速は150km前後でコントロールもいいので、スライダーが生きます。
左バッターの自分が打席に入るとしたら、スライダーは狙いませんね。真っすぐを素直に打ち返すことに徹すると思います。それぐらい、鈴木のスライダーを打つのは至難の業です。真っすぐで追い込まれて、最後にスライダーを投げられたらお手上げですよ。右バッターにはシュートも投げますが、真っすぐとスライダーで十分ですよ。
――昨季は61試合に登板し、今季もすでに35試合に登板。楽天ファンのなかには先発転向を望む声もありますが、いかがですか?
高木 リリーフのほうがいいでしょうね。ただ、先発をやるとなれば、今はほとんど投げていないカーブの割合も多くなりそうです。でも、鈴木のいいボールはやはり真っすぐとスライダー。無失点記録も更新中ですし、今後のさらなる活躍に期待しています。
【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)
1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。
■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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