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アニマル・レスリーに殴られ続けた男・藤田浩雅が語る「阪急時代の偉大な選手たち」「オリックスへの身売り」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── その2年目の84年は、98試合に出場して83安打をマークし、打率.287、22本塁打、69打点で新人王に輝きました。安打数のわりに本塁打と打点が多いですね。

藤田 83年に打点王のタイトルを獲得された水谷実雄さんに「"割れ"を大切にして、ボールを上からつぶせ」とアドバイスされました。"割れ"というのは、右打者の場合、トップの位置をつくるときに右腕は捕手方向に引っ張り、左足は投手方向に踏み出します。この上半身と下半身が、違う方向の動きをしている状態のことです。それでいい成績を残すことができたのですが、無我夢中で自信などどこにもなかったです。

── 88年のことになりますが、代打逆転満塁サヨナラ本塁打を打っています。史上8人しかいない快挙です。

藤田 南海(現ソフトバンク)の吉田豊彦からですね。上田利治監督に「今日の吉田は変化球が決まっていないから、バットを短めに持って、初球からストレートを狙っていけ」とアドバイスされ、思いきり振った打球がレフトに飛んでいきました。

【往年の名投手をリード】

── 守備でも、84年の阪急は山田久志さん14勝、今井雄太郎さん21勝(最多勝、最優秀防御率)、佐藤義則さん17勝(最多奪三振)、山沖之彦さん11勝(最優秀救援)と、2ケタ勝利投手を4人も輩出しました。

藤田 山田さんの場合は「ここはシンカーがいいですか」と、おうかがい程度にサインを出し、基本は山田さんが配球を組み立てて投げてくれました。今井さんはシュートに自信があって、そのサインを出すと喜ばれました。今井さんは外角のストレートとカーブのコントロールが抜群で、内角のシュートを見せ球や勝負球に使ってのコンビネーションで打者を打ちとっていました。今井さんは、水島新司さんの野球漫画『あぶさん』で"酒仙投手"として有名ですが、実際に試合直後のロッカーで当時オリックスにいた門田博光さんと一緒に飲み始めていました(笑)。

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