ロッテが独立リーグの外国人選手・マーティンを育成で獲得した理由 BC茨城GMが語る舞台裏 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 裏を返せば、上記の数字を覆すだけの魅力があるということだ。色川GMが続ける。

「スカウティングの目からすれば、今の結果だけを見ても仕方がありません。それより打席での立ち居振る舞いや、ボールに対する反応はどうか。データはあくまでデータです。もちろん数字もチェックしますけど、スカウティングをしている者は、野球に対するアプローチを含めて見ています」

 マーティンは2018年、18歳の時にアメリカに渡ってフロリダのハイアリア・シニア高校に入学した。翌年にはカンザスシティ・ロイヤルズからドラフト36巡目で指名されたが、大学に進む。色川GMによると、両親が「すぐにプロに行くのではなく、大学にちゃんと行きなさい」というのが理由だった。 

 ダイアーズバーグ・ステート・コミュニティ大学時代は2021−22年に54試合で打率.295、9本塁打、OPS.970、2022−23年に53試合で打率.320、15本塁打、OPS1.094の好成績を残したが、MLBのドラフトでは指名漏れとなった。

 そうしてコロンビアのウインターリーグでプロ生活をスタートさせた一方、今年1月、キューバプロ野球連盟(FEPCUBE)が同国を亡命した選手で構成した代表チームに選ばれている。全36選手のうちアロルディス・チャップマン(パイレーツ)やユリエスキ・グリエル(ブレーブス傘下)、ルルデス・グリエル(ダイヤモンドバックス)など14人がメジャー経験を持ち、そこに名を連ねたマーティンはいかに潜在能力を評価されているかがうかがえる。結局、同大会は中止になったが、マーティンは知人を通じて色川GMと知り合い、茨城にやって来ることになった。

「マーティンはそれなりのレベルで試合に出て、打席で結果を残していかないといけない立場です。アストロプラネッツに来るのは、そのプロセスのひとつとしてアリだと思いました。来日して早い段階でNPBの数球団が見に来てくれ、ロッテに早く決まってよかったです」

 素材的には中長距離打者で、チャンスに強く、走力も備える。日本で言えば3番バッタータイプで、鈴木誠也(カブス)のようなイメージだ。

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