高木豊がセ・リーグの助っ人たちを4段階で査定 「◎」「×」と評価されたチームは? (6ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

◆中日【野手〇/投手〇】

「(ダヤン・)ビシエドは今季から外国人枠を外れて日本人枠の扱いになりましたが、開幕当初はなかなかチャンスをもらえませんでした。契約の最終年で危機感があるはずなので、ある程度はやってくれると思っていましたし、日本人枠であれば『代打で入れておけば』と思いましたが......。使われなかった理由は、おそらく勝負強さの面で物足りなさがあったんでしょう。中田翔の離脱で一軍に上がりましたが、いい働きはできませんでしたね(6月9日に出場登録抹消)。

 同じく野手の(オルランド・)カリステは個人的に◎です。『なぜ安定的にレギュラーで使わないのか』と思っているぐらい、僕は彼の能力を評価しています。バッティングがいいので今は外野に入れたりしていますが、サードもショートもできますし、使い続ければどんどんよくなっていくと思うんです。守備の細かいことは改善の余地がありますが、あれだけダイナミックに動ける選手はなかなかいません。

 開幕でショートを任された(クリスチャン・)ロドリゲスは、まだ若いし無理がありました。素質は素晴らしいものを感じますが、キューバから日本に来て1年目であまり馴染めていなかったと思いますし、経験を積ませる段階だったと思うので、うまくいかなくて当然かなと。ただ、今季から育成選手として加入し、開幕前に支配下を勝ち取っただけでもすごいことだと思います。

 また、(アレックス・)ディカーソンは開幕スタメンでしたが、すぐに腰痛で離脱。交流戦の少し前に戦列に復帰しましたが、離脱期間が長かったことはマイナスです。確実性はあまりないですが、長打力や選球眼に優れているので下位に置くと面白いかもしれません。

 投げるほうですが、(ウンベルト・)メヒアは先発としてやってくれないと困る投手のひとりですし、もうちょっとやれると思うんです。真っすぐがそこそこ速くてコントロールがよく、スライダーとカーブ、スプリット系を投げるオーソドックスなタイプ。状態がいい時は力で押すこともできるし、変化球でタイミングを外すこともできます。

 守護神の(ライデル・)マルティネスに関しては、首脳陣も全幅の信頼を寄せていますね。リードしたまま彼まで繋いだらもう試合は終わったようなものですし、例年どおりに文句のつけようがありません」

<評価対象となった助っ人の成績>

(New/野)ディカーソン 20試合 打率.196 3本塁打 4打点 出塁率.318  OPS.675

(New/野)ロドリゲス 8試合 打率.136 0本塁打 0打点 出塁率.136 OPS.273

(野)カリステ 56試合 打率.305 5本塁打 17打点 出塁率.337 OPS.766

(野)ビシエド 15試合 打率.209 1本塁打 2打点 出塁率.261 OPS.563

(投)メヒア 9試合 3勝4敗 防御率4.50 QS率44.4

(投)マルティネス 30試合 0勝2敗 5ホールド20セーブ 防御率0.93

(投)フェリス 2試合 0勝0敗 0ホールド0セーブ 防御率5.40

(パ・リーグ編:交流戦で初優勝した楽天ら評価が高かったのは?>>)

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

高木豊のYouTubeチャンネルはこちら>>

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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