「球場にエンタメは必要か?」...「飛行パフォーマンス」「湘南乃風のライブ」など横浜DeNAが仕掛けたイベントの裏側 (2ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文text by Shiratori Junichi

【17人の牧の"影武者"が集合】

 本拠地開幕(4月4日・対巨人)ではキャプテンの佐野恵太が、バックネット裏、スタンド上部の個室観覧席の屋上にあるディスカバリーデッキからワイヤーをつたい、グラウンドのセンター定位置付近に設置されたゴンドラに到達する、派手な"飛行"パフォーマンスを披露。その後も横浜DeNAは、さまざまな工夫を凝らしたイベントでスタジアムを盛り上げた。

「たとえ難しそうな企画であっても、なんとか実現させようとする風土がある。選手のみなさんも僕らのやりたいことに耳を傾けてくださるので、本当に感謝しています」

 チーム一丸で魅力的なスタジアムを作り上げようとする姿勢は、今年3月にMLBから電撃入団したサイ・ヤング賞右腕、トレバー・バウアー投手も例外ではない。

「バウアー投手は、日頃から温かい声援を送ってくださる横浜DeNAファンに対して人一倍強い思いがあるようで、さまざまな文化の違いを受け入れながら、日本にいるファンの前でのプレーを楽しんでいるのが僕らにも伝わってくるんです。

 以前、イベントに向けた写真撮影をお願いした時も、バウアー投手は気さくに応じてくれた。時折『どんな撮影機材を使っているの?』という質問を受けたりしながら、和やかな雰囲気で撮影につき合ってもらえたので有り難かったです」

 そして、今季に実施した企画の中で、特に多くの人の注目を集めたのは「交流戦SERIES2023」(6月16日〜18日)で行なわれた『千葉ロッテびっくり大作戦』だ。

 千葉ロッテを揺動させるために、牧秀悟のそっくりさんを一般公募。「社内でも実現に向けて時間をかけて、検討を重ねた」と言うが、17人の"影武者"の応援に後押しされた"本物"の牧秀悟は、当日も4打数4安打2打点の活躍でチームの勝利に貢献。ヒーローインタビューでは影武者と共に喜びを分かち合った。

牧秀悟(前列左から2番目)のそっくりさん募集に集まったファンのみなさん(c)YDB牧秀悟(前列左から2番目)のそっくりさん募集に集まったファンのみなさん(c)YDBこの記事に関連する写真を見る「ひとりでも多くの方に楽しんでもらえたらと思って企画を考えているので、僕たちも注目される環境で仕事ができるのはありがたいです」

 その後も好調を維持したチームは、交流戦で初優勝。本拠地で迎えた交流戦の最後戦(6月19日、対北海道日本ハム)は、月曜日の振替試合にも関わらず、約3万2000人のファンがスタジアムに詰めかけた。

「この日の試合は、ポストシーズンのような緊張感が漂っていて、ファンの方の凄まじい声援や熱量に僕たちも圧倒されたことを覚えています。平日にも関わらず横浜スタジアムに駆けつけてくださったファンの皆さんには本当に感謝したいです」

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