今季プロ野球シーズン中トレードの効果を高木豊に聞く 大成功した球団は? (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • Photo by Sankei Visual

【中日と日本ハムのトレードは「大成功」】

――交流戦終了直後には、山本拓実投手と郡司裕也選手(ともに中日→日本ハム)と齋藤綱記投手と宇佐見真吾選手(ともに日本ハム→中日)の2対2のトレードがありました。

高木 中日は信頼できるキャッチャーがずっとほしかったんですよ。正捕手の木下拓哉がいますが、ケガなど何かあった時のために控えを獲っておかなければいけなかった。そんな中で、木下が交流戦で右手(右大菱形骨)を骨折して離脱してしまいましたから、なおさらです。加入した宇佐見はよく打っていますし(22試合出場、打率.390)、期待以上の活躍を見せていますよね。

 山本もいい働きをしていますね(7試合に登板、防御率1.17、1ホールド)。もともと中継ぎとして能力が高かったピッチャーで、日本ハムもずっとマークしていたようです。郡司も齋藤もチャンスをもらえていますし、結果も出ています(郡司:12試合出場、打率.275/齋藤:6試合に登板、防御率0.00、2ホールド)。大成功のトレードだったなと思います。

――目覚ましい活躍といえば、7月4日に小沼健太投手(ロッテ→巨人)とのトレードで巨人に移籍した石川慎吾選手(巨人→ロッテ)は、打率522(23打数12安打)と早々に存在感を示しています。

高木 巨人で一軍に上げても、ある程度はやってくれる選手だったと思います。ただ、秋広優人を成長させなければいけない事情や、若手にチャンスを与えなければということで浅野翔吾も起用していますよね。石川に能力があるとわかっていても、先を見据えた時には石川ではなかったということ。だから、出してあげたんだと思います。

――現状、代打だけでなくスタメンでの起用もありますね。

高木 ただ、レギュラーとしてはなかなか難しい選手です。30歳という年齢を考えると、ロッテも優秀な若手の外野手が多いので、それを差し置いて石川を使い続けるとは考えにくい。やはり代打が中心で、時折スタメンで使うとか、そういう起用をすれば非常にいい選手です。

 あと、"きっぷ"がよくて真っ直ぐに強いですから、ストライクゾーンを真っ直ぐでバンバン攻めてくるピッチャーが多いパ・リーグに向いていると思います。今回のトレードがなければ、今年の現役ドラフトで大人気だったでしょうね。

―― 一方の巨人でまだ登板機会がない小沼投手はいかがですか?

高木 来年に出てくるんじゃないですかね。基本は8回などの中継ぎでの起用だと思いますが、ひょっとしたら先発もあるかもしれない。僕は小沼を、"(オリックスの)山下舜平大の小型版"と見ています。

 ロッテにとって小沼は、抑えの益田直也の後釜として考えていた候補のひとりだったと思うんです。その小沼を出すということは、よっぽど石川がほしかったのかな。そのあたりの思惑はわかりませんが、いずれにせよ小沼はポテンシャルのあるピッチャーですし、今後の成長も期待できます。

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