WBC実況での「炎上」を文化放送・斉藤一美アナはどう受け止めたのか? 心を支えたのは、あの「アイドル」 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi
  • photo by Wada Satoshi

●ふだんの実況は「もっとエッジが効いている」

 多少は免疫があったとはいえ、"否"の声の多さに心が折れかけたこともあったという。そんな折、斉藤アナにとって救いになったのが、子どもの頃からのヒーロー、WBC初戦の中国戦で解説を務めた王貞治だった。

「私にとって最大のアイドルが王さんでした。うちひしがれかけていた気持ちで本番に臨んだ時に、隣に王さんが座ってくださって、私の問いかけに応えてくださる。

 一気に魂が浄化された感じがしました。王さんとの中継で、心機一転頑張ろうと思うことができました」

 試合を重ねるごとに映像用の実況にならしていき、全10試合を見事に"完投"した。

 テレビ中継ではなじみのない実況にアレルギー反応を起こした視聴者がいたのは当然のことだったのかもしれない。だが、もちろん"否"だけでなく、ラジオリスナーを中心に"賛"の声があったのも事実だ。

「視聴者のみなさまからいろいろご意見頂きましたが、ふだんのライオンズナイターでの斉藤アナウンサーはもっとエッジが効いているので、日頃から賛否両論なご意見いただいています。

 でもラジオナイターってそのくらい特徴を出していかないと残っていかないと思っています」

この記事に関連する写真を見る こう話すのは、今回の斉藤アナへの依頼の窓口になった文化放送の山田英俊プロデューサー。確かに無難な実況であったら、ここまで賛否を巻き起こすことも、話題になることもなかっただろう。

「ラジオの実況、ラジオの中継を聞いたことがない方がいらっしゃれば、ぜひとも私のホームグラウンドであるライオンズナイターを聞いていただけたら。

それで揚げ足を取ってくれてもかまわないです。好きになってくれとは言いませんから!」(斉藤アナ)

 日本のプロ野球は開幕したばかり。ラジオ中継に耳を傾けてみるのもいいだろう。ラジオならではの描写は、案外クセになるかもしれない!?

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