【真中満のセ・リーグ順位予想】中日が「No.1の投手力」で大躍進 Aクラス争いの巨人と阪神の課題と絶対条件を指摘 (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

●広島・新井貴浩新監督はどんな野球を演じるのか?

ーー続いて、5位は横浜です。昨年は2位に躍進。首位ヤクルトをかなり苦しめましたが、どうしてこの順位に?

 ベイスターズについては、打線は問題ないと思います。投手陣についても、今永昇太を筆頭に先発陣はそろっている。

 でも、東克樹、石田健大、大貫晋一、浜口遥大、上茶谷大河といろいろ名前は上がるし、それぞれ試合をつくることはできるんだけど、安定感に欠けるんですよね。

 大貫の故障は気がかりだし、東は去年は1勝6敗だし、石田も年間を通じてローテーションを守れるのか? いろいろ懸念材料があるんですよね。

ーー下馬評では、昨年2位のベイスターズを上位に推す声も多いですが......。

 そうなんですよね。他の解説陣はベイスターズを上位予想していると思うんですけど、そこをあえて、僕は5位予想とします。

ーーそして最下位予想は、新井貴浩新監督率いる広島東洋カープですか。

 カープに関しては、投打のバランスの取れたいいチームだと思います。

 去年の戦い方を見ていても、先発投手陣はそろっているし、打撃陣も悪くないのに、どうしてなかなか勝てないんだろうと思っていたんですけど、詳しく見ると、打撃陣は長打力不足で、投手陣は中継ぎ陣に課題があると思いますね。

 長打を期待されるマクブルームも20本塁打程度を期待できるかどうかだから、新外国人のデビッドソンがどこまでやれるか? 移籍2年目の秋山翔吾とともに、デビッドソンにも注目しています。

ーー打撃力ではヤクルト、横浜が、投手力では中日、阪神が目立っているとなると、カープは総合力で勝負するということになりますか?

 もちろん、そうなんですけど、まずは中継ぎ陣の整備ですよね。

 抑えの栗林良吏は計算できるとして、そこにつなぐための「勝利の方程式」をどう構築するか? 社会人出身の3人のルーキーから、誰かが抜け出せるか? そこがポイントですね。

ーー今季から就任した新井貴浩新監督についてはどう見ていますか?

 僕も、新井監督がどんな野球をやるのかということは注目しています。オープン戦の段階では、まだどんな野球を目指しているのかが見えてきていない。

 ただ、まだ就任1年目だし、いきなり結果を求めることなく、じっくりと腰を据えて自分の目指す野球をやってほしいと思いますね。

 でも、最初に言ったように、今年のセ・リーグは本当に混戦。故障者が続出したり、新外国人やルーキーの台頭があれば、ガラッと変わってくる。いずれにしても、今年のセ・リーグはますます面白くなりそうです。

ーー中編では、パ・リーグの順位予想を聞いていきます。

中編「2023年パ・リーグ順位予想」>>


後編「ヤクルト3連覇のカギ」>>

【プロフィール】
真中 満 まなか・みつる 
1971年、栃木県生まれ。宇都宮学園、日本大を卒業後、1992年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。2001年には打率.312でリーグ優勝、日本一に貢献した。計4回の日本一を経験し、2008年に現役引退。その後、ヤクルトの一軍チーフ打撃コーチなどを経て、監督に就任。2015年にはチームをリーグ優勝に導いた。現在は、野球解説者として活躍している。

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