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「イチローを外したらチームがガタガタになっていた」打撃コーチだった篠塚和典が証言する2009年WBC秘話 (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • Photo by 日刊現代/アフロ

――それほど川﨑さんの存在が大きかったということですね。ちなみに、篠塚さんはイチローさんのあの打席をベンチからどう見ていましたか?

篠塚 不振の時はボール球を空振りしていましたが、あの打席はけっこう球数を投げさせながら、ショートバウンドの球をファウルにしたりしていて、「これはいけるな」と。それまでの打席とは違う何かを、あの打席では感じていました。センター前に弾き返した瞬間は嬉しかったですね。

――篠塚さんが現役の頃、WBCのような大会はありませんでしたが、もしあれば出たかったですか?

篠塚 正力松太郎さんが作られた教訓に、「巨人軍はアメリカ野球に追いつき、そして追い越せ」とありました。1988年の日米野球でオーレル・ハーシューハイザー(サイ・ヤング賞投手)との対戦などはありましたが、やはりアメリカの選手たちと真剣勝負の場で戦いたかったという思いはありましたよ。WBCではコーチとしての参加でしたが、アメリカと戦うことになった時は、「戦えるんだ」っていう感情が湧きましたし、試合に勝てた時はちょっと胸をなで下ろすことができました。

【プロフィール】
篠塚和典(しのづか・かずのり)

1957年7月16日、東京都豊島区生まれ、千葉県銚子市育ち。1975年のドラフト1位で巨人に入団し、3番打者などさまざまな打順で活躍。1984年、87年に首位打者を獲得するなど、主力選手としてチームの6度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献した。1994年に現役を引退して以降は、巨人で1995年~2003年、2006年~2010年と一軍打撃コーチ、一軍守備・走塁コーチ、総合コーチを歴任。2009年WBCでは打撃コーチとして、日本代表の2連覇に貢献した。

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著者プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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