広岡達朗が中島、長野、松田のベテラン右打ちトリオを揃えた巨人に苦言。「再生させる指導者が今のチームにいるのか?」 (3ページ目)
中島、長野、松田に共通しているのは、日本代表でプレーしたことがあり、日本一の経験もあるということだ。彼らには球界のトップでプレーしてきたという代え難い経験がある。監督やコーチから教えてもらうより、ベテランたちから直接伝えられるほうが、若手にとっても響くものだ。一軍での直接的な戦力というより、バックアップ要員、そして若手のよき手本になってもらいたいという願いが強いのだろう。
それでも広岡は次のように語る。
「手本になるにしても、一軍レベルで通用する力がないと厳しい。そもそもベテランを再生させる指導者が、今の巨人にいるのか? もっと言えば『これをやればよくなる』という確固たる信念を持った指導者がいない。言うなれば、勉強をしていないからだ。勉強とは、野球はもちろんだが、ほかの競技の指導者に話を聞いたりして吸収していく。そして幅広い分野の本を読むことだ」
読書家ならではの広岡の見解ではあるが、指導者への提言は一貫している。選手を生かすも殺すも監督の胸算用で、コーチは選手の適性を見極め、技術を伸ばしてやる。一軍のコーチは決してお守り役ではないということだ。
中島、長野、松田の3人はもちろんのこと、首脳陣にとっても真価を問われる1年になることだけは間違いなさそうだ。
著者プロフィール
松永多佳倫 (まつなが・たかりん)
1968 年生まれ、岐阜県大垣市出身。出版社勤務を経て 2009 年 8 月より沖縄在住。著書に『沖縄を変えた男 栽弘義−高校野球に捧げた生涯』(集英社文庫)をはじめ、『確執と信念』(扶桑社)、『善と悪 江夏豊のラストメッセージ』(ダ・ヴィンチBOOKS)など著作多数。
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