最強助っ人・ラミレスが欠場を直訴したほど「対戦がイヤだった投手5人」。9連続三振を喫したエース、イライラしたスローカーブの使い手も (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

【ダルビッシュ有は「近くで投げているように見える」】

――最高のやりとりですね(笑)。では、3人目を挙げてください。

ラミレス 3人目は、交流戦で対戦した北海道日本ハムファイターズ時代のダルビッシュ有投手(現サンディエゴ・パドレス)です。彼はスライダーがすごくよかった。やはり、ダルビッシュ投手の場合も2種類を投げ分けていて、ひとつは緩くて大きく曲がるソフトなもの。もうひとつは、スピードが速くて、切れ味のいいハードなスライダー。どちらも本当にすごかった。それに、彼の場合は背が高くて手足も長いから、ものすごく近くから投げてくるように感じるので、すごく厄介でした。

――やはり長身投手の場合、ピッチャーマウンドからホームベースまでの18・44mが、実際の距離よりも近く感じられるものなのですか?

ラミレス もちろん、他にも背の高い投手はいました。でも、多くの投手は投げる時に、センター方向に一度大きく利き腕を引いて投げるので遠くからボールが来るように感じますが、ダルビッシュ投手の場合はそこから「お前の顔に目がけて投げるぞ」という雰囲気で近づいてきて、打者からするとかなり手前でリリースするようなイメージなんです。それに加えて2種類のスライダーを投げ分けてくるし、さらに当時としては最速の部類に入る155キロ前後のストレートも投げてくる。本当に大変なピッチャーでした(笑)。

――では、4人目をお願いします。

ラミレス 4人目は、現・横浜DeNAベイスターズ監督の三浦大輔さんです。三浦さんの特徴は何といっても、めちゃくちゃ遅いカーブ。見たこともないスローカーブの後にカットボールやシンカーを投げてくる。自分の球種の特徴を理解した上で、相手打者が嫌がる攻め方をしてくる、本当に対戦したくないピッチャーでした。

――確かに山なりに近いスローカーブは、外国人バッターにはさらに有効そうに見えました。

ラミレス おそらく、あのスローカーブは日本人打者にはほとんど投げずに、外国人打者相手に投げていたと思います。ワンボール・ワンストライク、ツーボール・ツーストライク、あるいはスリーボール・ツーストライクのフルカウントといった、バッターが打ち気にはやっている時にあのボールを投げてくる。バッターは待てないから、ボールを追いかけてしまって体勢を崩して打ち損じてしまうんです。彼の思うツボでした(苦笑)。三浦投手の時も、ヤクルトベンチからは僕に対して「ステイバック」の指示が出ていました。

――どうしても上体が突っ込んでしまうから、「ステイバック」が大切になるんですね。

ラミレス 理屈はもちろんわかっているんです。八重樫バッティングコーチからも、「センター返し、センター返し」と言われ続けました。でも、内心では「わかってるけど、打てないんだよ!」と思っていましたね(笑)。

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