真中満が髙津臣吾監督に問うヤクルト初リーグ3連覇へのプラン。三番・山田哲人、四番・村上宗隆は「変えない」「優越感があるふたり」 (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【山田哲人と村上宗隆を率いることに誇り】

真中 髙津監督が就任してから、若い選手が順調に台頭してきているけど、2023年シーズンも同様に、若い選手を上手に使いながら戦っていくことと思います。すでに、具体的なプランやイメージはあるんですか?

この記事に関連する写真を見る髙津 若い選手がたくさん出てきてくれたらうれしいけど、ひとりでもふたりでも、「これが今年の新しい戦力だ」という若手を見つけて、新しいシーズンを迎えたいとは思っていますね。

 やっぱり、ヤクルトをずっと強いチームにしていくためには、ベテランを適度に休ませながら若手を起用して次世代の主力を育てていくことが理想だと思っているので。秋季キャンプでも、「この選手はどこで起用すれば生かせるかな?」と思いながら見ていました。そういう選手が出てこないとチームは変わらないですから。

真中 これまでもずっと「四番・村上宗隆」にこだわってきましたけど、そのスタンスは2023年も変わらないですか? 僕なんかは、三番で起用したら面白いなんて、思ったりもしましたけど。

髙津 変わらないですね。確かに三番にしたほうがいいのかなと思ったこともありますよ。でも、変えないでしょうね。たとえば、シーズン終盤にタイトル争いがかかっている場面で、少しでも打席が多く回るように一番で起用したりするじゃないですか? でも、村上に対しては最後まで四番で起用したと思うし、「四番でタイトルを獲りなさい」と言っていたと思います。

真中 髙津監督は「三番・山田哲人」にもこだわりを持っていますけど、山田に対してもそういう思いですか?

髙津 そうですね。「三番・山田、四番・村上」がすごくマッチしていると僕は思っています。変な言い方になるかもしれないけど、僕はこのふたりを並べて監督できることに優越感を持っています。「うちの三番、四番はこのふたりなんだぞ」という思いはすごく強いです。

真中 僕もつくづく「僕が監督の時に村上がいてくれたらな......」って考えますよ(笑)。監督にとっては山田と村上を本当に誇りに思っているんですね。

髙津 誇りはあります。哲人に出会えたこと、ムネに出会えたこと。すごく縁と運は大事に思っています。こんなすごい選手に巡り合えるなんて、僕は本当にラッキーだと思っていますね。

真中 「監督と選手」という立場で、山田、村上と接していたら、本当に楽しいでしょうね(笑)。2023年はチーム初のリーグ3連覇もかかっていますが、その点は?

髙津 チャンスであることは間違いないので、狙いたいし、狙わなくちゃいけないのは確かだけど、ただ今のレベルではできないです。

 ピッチャーも整備しないといけないし、哲人には復調してもらわなければいけないし、これから春季キャンプを通じて、しっかりと適材適所を見極めつつ、新戦力も育てつつ、やるべきことはとても多いです。

真中 髙津監督に対して、選手がしっかりついてきているのでその点は安心ですね。

髙津 いやいや、選手たちに引っ張られていますよ。ぜひ、真中さんも2023年も優勝予想してくださいね(笑)。

真中 もちろんですよ。2連覇中の古巣チームを優勝予想しないと、みんなから怒られるし、出入り禁止になりますから(笑)。ぜひ、2023年シーズンも楽しみにしています!

髙津 もちろん頑張ります! 今日はどうもありがとうございました。

終わり

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【プロフィール】
髙津臣吾 たかつ・しんご 
1968年、広島県生まれ。広島工高、亜細亜大を卒業後、1990年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。守護神として活躍し、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年、MLBシカゴ・ホワイトソックスへ移籍。その後、ヤクルト復帰や、韓国、台湾のプロ野球、独立リーグ・新潟アルビレックスBCを経て、2012年に現役引退。ヤクルトの一軍投手コーチや二軍監督を務めたのち、2020年から一軍監督に就任。2021年は日本一、2022年はリーグ連覇を達成。

真中満 まなか・みつる 
1971年、栃木県生まれ。宇都宮学園、日本大を卒業後、1992年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。2001年には打率.312でリーグ優勝、日本一に貢献した。計4回の日本一を経験し、08年に現役引退。その後、ヤクルトの一軍チーフ打撃コーチなどを経て、監督に就任。15年にはチームをリーグ優勝に導いた。現在は、野球解説者として活躍している。

【著者プロフィール】
長谷川晶一 はせがわ・しょういち
1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て、2003年からノンフィクションライターとして、主に野球をテーマとして活動。2005年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。主な著書として、1992年、翌1993年の日本シリーズの死闘を描いた『詰むや、詰まざるや 森・西武vs野村・ヤクルトの2年間』(インプレス)、『プロ野球語辞典シリーズ』(誠文堂新光社)、『プロ野球ヒストリー大事典』(朝日新聞出版)。また、生前の野村克也氏の最晩年の肉声を記録した『弱い男』(星海社新書)の構成、『野村克也全語録』(プレジデント社)の解説も担当する。

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