楽天の歴史的大失速はなぜ起きたのか。OB磯部公一が指摘する課題「外国人野手で当たりを引かないと厳しい」 (2ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文・撮影 text by Kurita Shimei
  • photo by Sankei Visual

――先ほど指摘があった、得点力不足を解決するために必要なことは?

礒部:「イーグルスの場合、外国人野手で当たりを引かないと厳しい、というのが正直なところです。今の打線だと長打を期待できるのが、実質的に浅村選手くらい。さすがにこれでは得点力は上がりません。島内宏明選手なんかは今季に評価を上げました。もともと不器用な選手で、段階を経て成長しているしよく頑張ったと思いますが、本質的には中距離打者。島内、浅村、辰己涼介選手ら主軸が活きるためには、長距離砲の存在が必須です。

 打率は2割2、3分でも20本を打てる外国人選手が最低ひとり、ないし2人は必要なことは明らか。逆にそこさえ補強できれば、得点力は大きく変わってくる。このあたりはポストシーズンの動きに期待したいところです」

――新戦力についてはどう評価していますか?

礒部:「ドラフト2位ルーキーの安田悠馬捕手は、開幕前から大きな期待をしていたんです。彼は常に120%のスイングをするじゃないですか。あれだけ振れるということは相当な魅力。何より打席の中で『やってくれそう』という雰囲気を持っていました。キャッチャーとしての守備などは、シーズンを通してよくなっていくもの。それだけに怪我で早々に離脱してしまったのは、来年以降を考えても残念でした。

 投手で挙げたいのは2年目になりますが、早川隆久選手ですね。投球回数は100イニングを超えているし、よく投げたともいえますが、思っていたほど伸びなかった面もあります。彼本来のポテンシャルならもっとできるはず。今年の経験も経て、来季は成績を上げてくるでしょう」

――来季に向けて個人的に期待したい選手は誰でしょうか。

礒部:「辰己選手ですね。私も同じ外野手だったということもありますが、どうしてもあの身体能力をみると期待してしまう。今季はキャリアハイの成績(打率.271、11本塁打、35打点)を残しましたが、もっとやれる能力がある。彼の場合は状況に応じたバッテイングができれば、すごい選手になる可能性を秘めていると思います。

 気になるのは、本塁打を狙って大きなスイングをしてしまうことが目立つこと。もちろんそういう場面もあっていいですが、もともとはヒットの延長線上に長打があるタイプ。全体的にもう少し下半身をうまく使い、謙虚なバッテイングができれば、率ももちろんですが長打も増えてくると思うんです。ベースの体の強さがあるので、あそこまで強く振らなくても飛距離は伸びてくる。守備と走塁はすでに文句のつけようがないレベルですから、もう守備と走塁練習はしなくてもいいくらいです(笑)。打撃への意識が変わってくれば、もうワンランクもツーランクも上の選手になると思います」

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