杉谷拳士が栗山英樹監督からの言葉に号泣。斎藤佑樹に「現役引退までの経緯と葛藤」を明かした (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by Saito Yuki

寡黙な父からの「お疲れさま」

斎藤 ご両親には?

杉谷 まず母に連絡をして「小学校から野球を始めて24年。今までありがとうございました。やめます」と言ったら、父親も近くにいたみたいで、「よく頑張ったな。お疲れさま」と。普段は寡黙で何も言わない父親からの言葉にびっくりして......あとのことは何も覚えていない(笑)。

斎藤 お父さんはどういう気持ちでその言葉を言ったと思う?

杉谷 父親には「勝負事は常に一番でいなさい」と言われていて、マラソン大会とかでも2番、3番だったら口も聞いてもらえないほどでした。とくにスポーツに関しては厳しく育てられましたね。だから、やめるって言った時は、寂しい気持ちのほうが強かったんじゃないかなって思いますね。

斎藤 プロ野球人生のなかで、一番って決めづらいと思うんだけど、記憶に残っているシーンは?

杉谷 ほんとにいろんなシーンが蘇ってくるのですが、プロ野球人生を振り返ると打席のなかで骨折したというのが一番記憶に残っています。有鈎骨の骨折だったんですが、振った瞬間「ボキッ」という音がして。手を見たら震えていたので、「これが噂の有鈎骨骨折か......」と。

斎藤 ピッチャーは誰だったの?

杉谷 楽天の釜田(佳直/当時)です。ちょっと抜けた高めのカットボールで、フルスイングしたら「ボキッ」と。あの音は今でも忘れないですね。

斎藤 プロの世界でやっていけると思った瞬間は?

杉谷 初ヒット(2011年7月2日)を打った時かもしれないですね。小さい頃から見に行っていた西武ドームで、涌井(秀章)さんからレフト前に打ったんですけど、「いつかこういうところでプレーできる選手になりたい」というのが原点というか、プロを目指したきっかけだったのでうれしかったですね。「よしっ、ここからだ!」という気持ちになりました。

斎藤 その時の感触って覚えてる?

杉谷 覚えてます。インコースのボール気味の球だったのですが、おっつけながら三遊間に打って。やっとプロ野球生活が始まったなと。

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