ヤクルトのドラフト1位は「即戦力投手」か。黄金期到来へ「長岡秀樹のライバル」「有望左腕」も狙いたい (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masaahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 今年、マウンドに上がった投手たちの顔ぶれを見ると、誰が見たって「左腕」が足りない。レジェンド・石川雅規がいなければ、先発の高橋奎二、リリーフの田口麗斗だけ......というのが実情だろう。先発、リリーフとも即戦力左腕を、可能なら何枚かほしい。

 昨年も、左腕の隅田知一郎(西日本工業大→西武)を1位指名するも抽選で外し、同じく左腕の山下輝(法政大)を獲得したが、ようやくイースタンリーグで投げ始めた段階だ。来季の見通しは立っておらず、トレードも含め、"左腕"はヤクルトの緊急課題であることに違いない。

1位で確実に即戦力投手を

 即戦力左腕なら、今年は曽谷龍平(白鴎大/183センチ・79キロ/左投左打)の一本かぶりになるだろう。

 左腕窮乏は、巨人、西武、ソフトバンク、ロッテなども同じ悩みを抱えており、重複指名の可能性は高い。それでも指名すべきか......。いや、いくべきではない。

 なぜなら、このままヤクルトが優勝するとドラフト2巡目の指名は最後になる。つまり、通算で24人目の選手を2巡目で指名することになる。ただでさえ、「人材不足」と評される2022年のドラフトだ。まず1位は確実に戦力になってくれる投手を......となるのは当然だ。重複は避けたいから、名より実をとって、社会人の実力者を獲得したい。左腕が見当たらなければ、右腕でもいい。

 吉野光樹(トヨタ自動車/176センチ・78キロ/右投右打)は静かな人気があって、重複の可能性がある。ここは益田武尚(東京ガス/175センチ・86キロ/右投右打)の実戦力と伸びしろを買いたい。

 益田は1年目の都市対抗で初戦に先発して153キロをマークするなど快投を演じたが、次戦の初回に脇腹を痛めて降板。しかし2年目の今夏、都市対抗で完封勝利。体調さえよければ、なかなか打てない"快腕"であることは証明できた。

 140キロ後半のスピードを維持しながら、ホームベース上で鋭く変化するカットボールとスプリット、そして気迫ある投げっぷり。先発なら5、6回は安心して任せられるし、意気に感じで投げるタイプだから、後半の1イニングならもっと威力を発揮するはずだ。

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