高木豊が大混戦パ・リーグの6球団を分析。前半戦を見て「最も優勝の可能性を感じる」チームは? (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

楽天の選手育成の意識に違和感

――開幕当初にチームを牽引していた西川遥輝選手のスランプが長引いているのも痛いですね。5月以降は、3カ月連続で打率1割台です。

高木 西川の調子がそんなに落ちると思っていませんでしたし、楽天が失速した要因のひとつであることは間違いありません。7月にグッと状態を上げてきた島内宏明は、逆に春先が悪かった。(クリス・)ギッテンスと(ホセ・)マルモレホスの両助っ人外国人も打線にいませんし、鈴木大地も起用されない試合が増えるなど打線の形が落ち着きませんね。

 他にも、当初はショートで予定していた山﨑剛がダメで小深田大翔に代えたり、代打で使っていた銀次を今はファーストで使っていたり。行き当たりばったりの印象です。首脳陣に「この選手はこのポジションで育てる」という意識を感じません。

――7月は6勝11敗1分け。なかなかチームが波に乗り切れませんが、巻き返しのポイントは?

高木 まず、チームの雰囲気があまりよくない。例えば、ヤクルトの塩見泰隆は「家族みたいな雰囲気の中でやっている。球場に来るのが楽しみでしょうがない」と言っていますが、そういう雰囲気にならないと苦しい夏は乗りきれないでしょう。投打ともに柱になる選手はいるわけですから、かみ合ってくれば勝ちが増えてくるとは思いますけどね。

――そんな楽天とゲーム差なしの4位につける、ロッテについてお聞きします。前半戦は借金が最大9ありましたが、貯金2で折り返しました。


高木 僕が最も優勝の可能性を感じるのはロッテです。パ・リーグは各チームの打者が苦しむ中で、ロッテの89盗塁は12球団でダントツ。代走起用が多い岡大海や和田康士朗なども含めて足を絡めて点が取れるのが大きく、打線がしつこいのもいいですね。

 荻野貴司と髙部瑛斗の1、2番コンビが機能していますし、3番の中村奨吾、4番に戻ってきた井上晴哉がいい仕事をしています。安田尚憲を4番で起用することが引っかかっていたのですが、井上が復帰して打線が落ち着きました。

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