交流戦でパのエースが苦戦。清水直行が称賛するセの強打者と、村上宗隆が「ちょっと抜けたな」と感じた瞬間
今年の交流戦は、佐々木朗希、山本由伸、千賀滉大らパ・リーグのスーパーエースたちと、村上宗隆、岡本和真、牧秀悟、佐藤輝明らセ・リーグの強打者たちの対決にも注目が集まった。
昨年に続いてセ・リーグが勝ち越した(55勝53敗)が、個々の対戦でもセのスラッガーたちの力と技術が際立った。佐々木も3試合を投げて0勝1敗と、パのエースたちが苦しんだ印象がある。長年にわたりロッテのエースとして活躍し、2010~2012年は横浜にも在籍した清水直行氏に、印象的な対戦を振り返ってもらった。
セ・リーグの各打撃部門で上位にいるヤクルトの村上(左)とDeNAの牧この記事に関連する写真を見る***
――まずは、最も注目度が高かった佐々木投手について。5月27日の阪神戦での佐藤選手との対戦では、3打数無安打2三振と佐々木投手に軍配。勝ちはつきませんでしたが、6回を無失点に抑えました。
清水直行(以下:清水) 佐藤は真っ直ぐよりも少し浮いた変化球のほうが強いので、抑えるためには真っ直ぐでガンガンいったほうがいいなと思っていました。実際に、佐々木は真っ直ぐ中心で追い込んでからのフォークボールで2つの三振を奪いましたね。
――6月3日の巨人戦では岡本選手の対戦が実現。巨人の1点リードで迎えた3回裏二死二塁の場面で、2球連続で159kmの直球が外れた後の3球目、岡本選手は外角のフォークボールを右中間スタンドまで運びました。
清水直行(以下:清水) 調子がいい時の岡本は、逆方向にいい打球が飛びますよね。相手が佐々木ということもあって、逆方向への意識がよりいっそう高かったでしょうし、完璧なホームランだったと思います。
いい打者ほど、ムキになって豪快に打ちにいこうとしない。岡本もクレバーというか、確固たる自分のスタイルを持っています。佐々木も真っすぐで押せばよかったのですが、この日は調子が悪くてフォークボールが抜けてしまいました。
――その試合は5回5失点(自責点4)。佐々木投手の調子の良し悪しもあるでしょうが、2三振を喫した佐藤選手と結果に差が出た原因はあるのでしょうか。
清水 性格の違いなのか、明確にはわかりませんが、佐藤は豪快なホームランを狙いにいって三振をくらってしまった印象です。一方で岡本は自分のスタイルを崩さず、逆方向の強い打球を意識していたため、ボールが浮いてきたところをとらえることができたんじゃないかと。
佐々木も疲れが溜まってきていて、それは阪神戦でも感じられましたが、巨人戦のタイミングでより出てしまったようにも見えました。この対戦だけを見て一概に「どちらが上か」とは言えませんが、「この対戦を今後もたくさん見てみたい」と思わされました。
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