高木豊が走塁センスの高さに驚いた「上宮高校出身」の意外な2人とは?足は速くないが「野球をよく知っている」

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

高木豊が語る「走塁のうまさ」 後編

(前編:「走塁がうまい」現役選手を厳選>>)

 走塁のうまさは足の速い・遅いとは関係ない――。大洋(現DeNA)で"スーパーカートリオ"のひとりとして活躍した高木豊は、かつて2人の選手に高い走塁センスを感じていたという。今の現役選手にはない、抜け目のない走塁を振り返った。

高木豊が走塁センスを感じた2人。巨人の元木ともうひとりは?高木豊が走塁センスを感じた2人。巨人の元木ともうひとりは?この記事に関連する写真を見る***

――高木さんが実際に見てきた選手の中で、一番走塁のセンスを感じたのは誰ですか?

高木豊(以下:高木) 元木大介(元巨人、現巨人ヘッド兼オフェンスチーフコーチ)です。足が速いわけではありませんが、ちょっとした隙をつく"したたかさ"がありました。

 それに匹敵するのが種田仁(元中日、横浜)ですね。2人とも同じ上宮高校出身。おそらく高校時代にそういった走塁の意識を持たせるような指導を受けていたんだと思います。元木にしても種田にしても、「野球をよく知っているな」と現役時代に対戦しながら思っていました。

――彼らと走塁について話す機会はありましたか?

高木 「お前らは、なんでそんなに走塁がうまいんだ?」と聞いたことがあるんですが、「(高校時代に)走塁については、口酸っぱく言われていました」と。その指導の中でセンスが磨かれたんだと思います。

 いくら指導してもできないこともありますが、もともとセンスがあったから卓越した走塁技術を身につけることができたのでしょう。2人ともそんなに足は速くないのに、抜け目のなさはすごく感じました。

――どんな時に走塁のうまさを感じましたか?

高木 リードオフやオーバーランの仕方は、相手の心理をよくわかっていましたね。この場面では牽制してこないだろうとか、投手が走者を気にしていないことがわかっているんです。「あんなにリードをとるの?」「あんなにオーバーランするの?」と驚くこともありましたね。相手にミスが出れば、すぐに次の塁に行くという意識でいるんです。

 それは常に意識していないとできないこと。センスがないとリードの幅などを間違えたりするんですけど、彼らはそれがなかったですね。

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