石川昂弥は「今のフォームでは長打を打てない」。山﨑武司が中日の若手野手たちを徹底分析 (2ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • photo by Sankei Visual

石川が日本人の4番になるための課題

――山﨑さんはスタメン起用が続く石川昂弥選手に対して、ルーキーイヤーからずっと期待をかけてきました。今の石川選手はいかがですか?

山﨑 チーム関係者全員が「石川を早く一人前にしたい」と思っているんじゃないでしょうか。右の大砲でバンテリンドームでも30本塁打を打てる能力がある。ただ、もっともっとやれるし、今の打撃の内容は決してよくないです。

4月14日の阪神戦まで4試合連続のマルチ安打を記録していましたが、たまたまヒットになったような打球が多かった。バッテイングカウントで強く振り抜くような思い切りのよさがまだ見えません。石川に求められるのは、豪快な打撃でしょう。今は悩みながらやっているんでしょうが、ボールを飛ばせる、強く振れるということが自分の強みだということをもう一度考えてほしいですね。

――技術的な部分で課題を挙げるなら?

山﨑 単純に今のフォームは長打を打てる打ち方でない、というのはありますね。今はトップを作って、もう一度開けて、というフォームで、あの若さにして半速球を打つのはうまかったりする。それは技術があるからだけど、本来はストレートをレフト方向にもバチッと引っ張れるようなバッターになってほしい。

 今のままだと今季は2割5分、10本くらいの成績で終わりそうで、それでも十分かもしれませんが、もっとやれる。巨人の岡本和真のように30本を毎年狙えるバッターになってほしいし、なれると思います。当然、年数を重ねるごとに本塁打は増えてくるでしょうが、今の段階で目につくのはそういうところです。

――ドラフト2位ルーキーの鵜飼航丞も、久しく表れなかった右の長距離砲です。

山﨑 鵜飼もあれだけ振れるわけですから、すごくいいものを持っていますよ。ドラゴンズだと生え抜きの日本人本塁打王は(1996年の)僕以来出ていないそうですが、鵜飼はそんな不名誉な記録を終わらせるポテンシャルがある。今季はなんとか20本を目指してほしいです。

 そうすれば、来年以降に"本塁打を打つ技術"が理解できて、自ずと長打が増えてくる。彼の場合は外角の変化球への対応という明確な弱点がありますが、それも打席に立って解消していくしかありません。今はとにかく試合に出て経験を積むこと。それに尽きます。

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