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斎藤佑樹、早実入学直後の思い。プロ注目の先輩ふたりを「軽く超えなくてはいけない」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

 そういう世界に飛び込んで、みんなと足並みを揃えて環境に対応しないといけない。ただ僕は要領よくやれるタイプだと思っていましたし、自分なりにはそういう雰囲気にすぐに適応できたと思っています。

 僕が入った時の新3年生にはエース候補と言われていたピッチャーがふたりいました。日野頼人(のちに早大〜明治安田生命)さんと村山航也(のちに早大)さんです。そのふたりの先輩が投げるボールは140キロを超えていて、本当にすごかった。

 速さだけじゃなくて、ボールが唸ってホップする感じがあったんです。リリースがすごくうまいというか......プロ注目と言われていましたし、やっぱり早実にはレベルの高い人たちがいるんだなと驚かされました。

 ただ、生意気な言い方をさせてもらえば、このふたりを超えないと、しかも軽く超えるくらいじゃないと、僕は甲子園で優勝できないんだろうなと思っていました。目標はふたりを軽く超えること。そう思うところから僕の高校生活はスタートしたんです。

片道2時間以上の通学に大苦戦

 硬式球には中学の夏の大会が終わってから1週間もしないうちに触っていました。中学の野球が終われば高校野球、そうなれば当然、硬球ですから、早く準備をしておこうということでした。中学の校庭で休み時間に野球部のみんなで「やろうぜ」ってキャッチボールをしていましたね。

 最初、硬球を握った時は『すっごく硬いなぁ』と思いました。とくに最後、指先でボールを離す瞬間の感覚が軟球とはまったく違うんです。軟球はゴムだから指先に粘りつく感じがあるんですけど、硬球は指先からパチーンと離れちゃう。軟球は指先でボールを押さえ込めるんですけど、硬式だとふける(ボールが抜け気味になってしまうせいで勢いよく浮いてしまう)感じが出てしまうんですよね。これ、ちゃんとコントロールできるのかなと心配になったのを覚えています。慣れるまではけっこう時間がかかりました。

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