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なぜ佐々木朗希は「投げづらい」球場で完全試合をできたのか。19奪三振記録保持者の野田浩司が解説 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Kyodo News

── 4月10日のオリックス戦でロッテの佐々木朗希投手が28年ぶりの完全試合を達成しましたが、あの日のピッチングは野田さんの目にどう映りましたか。

「最初から最後まで見ていましたが、とにかく圧巻の投球だった。どこがすごいという話ではなく、圧巻でした。これまで16回の完全試合のなかでも、史上最高と言ってもいいと思います。昨年の秋以降、イニング数も奪三振数も増え、かなりのレベルに成長しているのを目の当たりにしてきました。(完全試合を達成した)あの試合はかなり調子がよくて、立ち上がりからいわゆる"ゾーン"に入った状態だったと思います」

── どういうところでゾーンに入っていると感じましたか。

「コントロールはいいし、真っすぐは打ってもファウルにしかならないのでカウントを稼げる。そして追い込んだらフォーク。そのフォークも揺れていて、打者が飛びついて打ちにいくシーンが見られた。とにかく外野に打球が飛んだのは2つだけで、まともな当たりはなかった。打者がまったく対応できていませんでした。三振をとれるべくしてとっている印象
でした」

── 「三振をとって勝つ」というのは、ある意味、難しいのではないですか?

「私が19奪三振をした時は、8回、9回に1個ずつ。佐々木投手は6、7回に1個ずつだったが、完投を目指す投手がもっとも疲れる8回に完璧な内容で3個とった。三振をとるにはそれなりに球数を要する。私が記録をつくった時は、9回で162球を投げました。同点で降板となり、勝ち投手になれませんでした(笑)」

── 野田さんが「1試合19奪三振」を記録したのも、千葉マリンスタジアム(現・ZOZOマリンスタジアム)でした。

「あそこは投手にとって投げやすい球場ではありません。とにかく風が強い。私の時は風速8メートルでした。しかもセンターからバックネット方向に当たった風がマウンドに向かってくる。投手にとっては、完全にアゲインストになるんです。空気抵抗を受けてフォークは落ちるのですが、真っすぐは伸びない。ただ、フォークは揺れるように落ちるから、バッターにとっては難しい球になる。投手も投げづらいですが、バッターにとってもやりづらい球場だと思います」

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