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広島・中村奨成が悔いる自らの甘え。「どこかで、遊びに行きたいなという思いがあった」 (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • photo by Koike Yoshihiro

野球に見放されているのかな

── 変わるきっかけはあったのでしょうか。

「やっぱり(鈴木)誠也さんが若手に意識改革を求める記事を見て、奮い立たされました。いくらドラフト1位で入ったとはいえ、甘えた部分は許されない。それに3年目に初めて一軍の舞台を経験させてもらって、やっぱり一軍と二軍の雰囲気は全然違った。ここでプレーしたいという思いが強くなったこともあったと思います」

── 鈴木誠也選手は、中村奨成選手にとってどういう存在でしょうか。

「僕のなかでお手本にしている選手でした。打撃にしろ、外野を守るなら外野守備にしろ、超えなければいけない人だとも思っていました」

── 精神面の成長によって、心技体が整ってきた印象があります。

「入団する時、自分のなかで能力があると思っていたので、『なんとかなるだろう』という感覚があったんです。それが現実を見て『ちょっと無理なんじゃないか』という弱い部分が出てしまっていたのかもしれません。1年目は二軍で思うように結果が出ず。2年目は骨折からスタートして、治ったと思ったら、頭にデッドボールを受けて......『野球に見放されているのかな』と感じることもありました。

 3年目は春季キャンプで一軍スタートだったのですが、キャンプ途中に二軍落ちになったことが、めちゃくちゃ悔しかった。それがプロに入って初めて『悔しい』と感じたことだったんです。もっとできるはずなのにと思っていたので、余計に悔しかった。二軍で結果を残そうと思って取り組み、その年に初めて一軍に上げてもらったんです」

── 一軍に初昇格した3年目の2020年はすべて代打で、4打数無安打でした。

「その時も『二軍でこれだけ打ってきたから、一軍でも打てるだろう』と思ってしまった。一軍でも絶対打てるという自信を持っていたので、そこで味わった悔しさから、またちょっとずつ変わっていったところはあります。やっぱり打ちたい、活躍したいという気持ちが強くなりました」

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