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「今のままでは行き詰まるよ」。DeNA森敬斗がレギュラー奪取へ、石井琢朗コーチから教わったこと (2ページ目)

  • 村瀬秀信●文 text by Murase Hidenobu
  • photo by Sankei Visual

── 入団以来、オープン戦や初打席で結果を出しても、首脳陣から『森は焦らず土台ができるまでファーム(二軍)で育てる』と宣言されていましたが、去年も春先に倉本寿彦選手・柴田竜拓選手の先輩ショート2人が故障で離脱しても、夏まで1軍には上がれずに焦れていたと思います。やっぱり早く一軍でプレーしたかったではないですか。

「もちろんです。7月に一軍に呼ばれた時は『やっと来たか』という気持ちでした。ずっと待っていたので、一軍に昇格した瞬間から『よっしゃ!やってやるぞ!』と気持ちを入れて、その日からスタメンで出る気満々でした。初日は代打で終わっちゃいましたけど」

── でも、その翌日にはスタメン出場で2安打。しかも1点差の9回二死から安打と盗塁でチャンスをつくり、佐野恵太選手のライト前で一気に同点のホームを奪うなど、いい意味で"ベイスターズらしからぬ攻撃"に希望の光を見た人は多かったと聞きます。

「やっぱり足と肩は僕の武器なので、攻撃も守備もそれを生かしつつ、一発も狙えるってところも魅せていきたいです。とくにベイスターズは走れる選手が少ないので、足の部分でもっと貢献したかったんですけど、やっぱり一軍のバッテリーはクイックも速いしキャッチャーもうまくて盗塁も簡単じゃなかった。あとは確実性の部分ですね。やっぱり一軍の壁じゃないですけど、毎日試合があるなかで、自分の状態をある程度よい位置のままキープさせることが難しかったです」

── たしかに初スタメンから五輪の中断期間を挟んで12試合中11試合スタメンで出場して、8月17日には初猛打賞の活躍など、一時はこのままレギュラーを獲りそうな空気を出していましたが、8月24日の1打席目を最後に30打席連続無安打のドツボにはまってしまいました。

「結局、自分のなかでよかったと思っていたプレーも、たまたまその時だけできていたというだけで、うまくいっても、ミスをしても基本に立ち返る部分がなくて、『あのプレーはどうやっていたんだろう』という期間が長くなってしまって......こうでもないああでもないって試行錯誤を繰り返していくうちに、どんどんわからなくなってしまったというか。まぁ、そんな迷っている状態で打席に立っても結果なんて出るわけないよね......という感じはありました」

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