球界のレジェンド・山本昌に聞く「なぜベテラン左腕は生き残れるのか?」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 2021年のシーズンが終わり、今年も松坂大輔(元・西武ほか)ら多くの名選手が惜しまれつつもユニホームを脱いだ。そんななか、2022年4月で45歳になる福留孝介(中日)をはじめ、現役続行を決めたベテランもいる。

 来季40歳以上となる顔ぶれで目立つのは、左投手が非常に多いことだ。能見篤史(オリックス/42歳/1979年5月28日生まれ)、石川雅規(ヤクルト/41歳/1980年1月22日生まれ)、和田毅(ソフトバンク/40歳/1981年2月21日生まれ)、内海哲也(西武/39歳/1982年4月29日生まれ)と4人のサウスポーがいる。

 なぜ、ベテラン左腕は生き残るのか。その疑問をぶつけるのにうってつけな存在が、山本昌さんだ。50歳まで現役生活を送ったレジェンド・サウスポーは、現役のベテラン左腕をどのように見ているのだろうか。

通算177勝をマークしているヤクルト・石川雅規通算177勝をマークしているヤクルト・石川雅規この記事に関連する写真を見る

【40歳を超えてからのピッチング】

── 「なぜベテラン左腕は生き残れるのか?」というテーマでお聞きしたいのですが、左投手だからこそ生き残れる事情はあるのでしょうか。

「あると思います。今のNPBは各球団にいい左バッターが多くいますよね。昔と比べて打線に1〜2人は左打者が増えている印象です。イチローくん(元・マリナーズほか)、松井秀喜くん(元・ヤンキースほか)ら右投げ左打ちのスターに影響を受けた世代が、今の各球団の主力打者になっている。左の強打者を抑えるために左投手の需要が高まっていると言えるでしょう」

── 能見投手、石川投手、和田投手、内海投手の4人に共通点はありますか?

「共通しているのは、いい変化球を持っていることとコントロールがいいこと。4人ともタイトル獲得経験のあるピッチャー(能見は2012年に最多奪三振、石川は2008年に最優秀防御率、和田は2010年と2016年に最多勝利、2016年に最高勝率、内海は2011年と2012年に最多勝利、2007年に最多奪三振を獲得)ですが、彼らの努力に加えて医療や調整法の進化もあり、選手寿命が延びているのでしょう」

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