2021.12.12

オリックス戦力外の4投手はなぜトライアウトで圧巻のパフォーマンスを披露できたのか

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Murakami Shogo

 どうしてオリックスの投手ばかり、状態がいいのだろう----?

 12月8日、メットライフドームでの12球団合同トライアウトを見ていて、疑問に思えて仕方がなかった。オリックスのユニホームを着た金田和之、神戸文也、荒西祐大、吉田一将の4投手が、立て続けにすばらしいパフォーマンスを見せたのだ。

トライアウトで三者連続三振の好投を見せた前オリックスの荒西祐大トライアウトで三者連続三振の好投を見せた前オリックスの荒西祐大 この記事に関連する写真を見る 【選手としてのプライドを引き裂かれた元オリックス4投手の意地】

 登板後に金田が語ったコメントを聞いて、その理由の一端が見えたような気がした。

「今回参加した4人で舞洲(ベースボールスタジアム)を使わせてもらって、ピッチングを受けてもらって。自分の持ち味は真っすぐなので、それを生かせるように準備してきました。みんなにいろいろと手伝ってもらって、シート打撃で実戦もやらせてもらっていたので、それが生きたのかなと」

 球団の厚意により、練習施設を使用できたことで調整がうまくいったのは間違いないのだろう。だが、トライアウトを受験する選手に球団施設の使用許可を与えている球団はオリックスだけではない。オリックスの4投手が力を発揮した背景には、彼らの内面に潜む熱い思いもあったのだろう。

 昨年のリーグ最下位からわずか1年でリーグ優勝を飾る快挙に沸くなか、自身は戦力外通告を受けてチームを去る。しかも、オリックスはリリーフ陣にウィークポイントを抱えているというのに、4投手ともリリーフタイプである。今季は金田のみ9試合に一軍登板したが、神戸、荒西、吉田一は一軍登板のチャンスすらなかった。

 選手としてのプライドは切り裂かれたに違いない。施設を使わせてくれた球団、調整に協力してくれた仲間への感謝の念は強い。それでも、トライアウトまでは自身の誇りと意地をかけた感情が渦巻き続けたのではないか。それが、最高気温10度という劣悪なコンディションでの好パフォーマンスにつながったように思えてならなかった。