新庄剛志が友人に語ったスター像。「練習なんか全然してないフリして、試合であっけらかんと本塁打を打つ」 (2ページ目)

  • インタビューマン山下●文・写真 text & photo by Interviewman Yamashita

 10月29日に日本ハム新監督就任が正式発表され、自身のインスタグラムで報告する際にも「努力は一生。本番は一回。チャンスは一瞬」という言葉を用いて、「この言葉を胸に日本ハムとともに、笑顔を忘れず、これから長い船旅を戦っていきます」と決意表明。新庄さんにとって、とても大切な言葉のようです。

 かつて"宇宙人"と呼ばれ、パフォーマンス先行と見られることもある新庄さんが「努力」という言葉を繰り返すのは意外にも思えます。しかし、プロ野球再挑戦を表明後は「少しでも若い選手の参考になれば」という思いから、努力する姿、努力の大切さを積極的に伝えるようになったのです。

「もう現役じゃないから言うけど、俺はプロ野球選手のなかでもトップクラスで練習していたと思う。でも、現役時代は努力している姿を見せたくなかったの。練習なんか全然してないフリして、試合であっけらかんとホームランを打つ。それが俺にとっての理想のスターだから」

 昨年12月のNPB12球団合同トライアウト後も、YouTubeやInstagramを通じて積極的に後進育成を行なってきました。ハイレベルな技術指導だけでなく、精神面の重要性についても独自の言葉で伝えるのが"新庄流"。会見でこんな発言もしていました。

「やっぱり気持ちの面ですね。このプロ野球という世界に入ってくる選手というのは、一緒なんですよ、レベルは。もうほぼほぼ一緒。ただメンタル的な問題であって、それを伸ばせないコーチ、監督がいたと思うんですけど、そのメンタル的なものに関してはものすごく引き出す力が自分にあると思うので」

 はたして、新庄さんはどのような育成法で若手を鍛え伸ばすのでしょうか。連載コラム『新庄剛志の開運ポジ語録』でそのヒントが少し垣間見えた瞬間がありました。

「もし俺が監督やコーチなら、若手バッターにチャンスを与える時に『四球なんて狙わなくていいから、ストライクゾーンを大きく持って打ちにいきなさい』って言ってあげるね。そのほうが、力が抜ける。『ボール球に手を出したらいけない』と思えば思うほど、いい結果は出ないから。

 若手ピッチャーだったら、『3回投げたら3点とられてもいいよ』って言ってあげる。そしたらラクに投げられると思うし。フリーバッティングの遅いボールでも、なかなかホームランは打てないよ。10球に対して、多くても3、4本くらい。だから、若手ピッチャーがピンチの時には『フリーバッティングの遅いボールでもバッターはなかなか打てないんだから。普通に投げてみ。簡単に打てるもんじゃないから』って声をかけてマウンドに立たせてあげる。それできっと抑えられるよ」

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