ドラフトは「外れ1位」でも実は大当たり。過去15年で活躍している選手たち (2ページ目)

  • 津金壱郎●文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Kyodo News

 一方、外れ1位で巨人に指名された光星学院高の坂本には、2年目にレギュラー獲りの大きなチャンスが訪れる。選手会長だった32歳の二岡智宏が開幕戦での故障と不祥事によって長期の戦線離脱。坂本はこの機会にしっかり結果を残したことで、現在に至る圧倒的な存在へと登り詰めていった。

 NPB史上唯一となる3度のトリプルスリーを達成し、昨オフに7年35億円+出来高でヤクルトに残留した山田哲人も、抽選に外れたことで引くことができた大当たりの選手だ。

 履正社高の山田がドラフトで指名されたのは2010年。沢村拓一(中央大→巨人)、大野雄大(佛教大→中日)など大学経由の"マー君世代"がドラフト対象になったことで、彼らに注目が集まっていた。

 ヤクルトが最初に1位入札したのは、今季で引退の斎藤佑樹(→日本ハム)。高校時代に甲子園を沸かせ、早稲田大でも圧倒的な人気を誇った"ハンカチ王子"のクジ引きに敗れると、次は八戸大の塩見貴洋を狙った。そして楽天とのクジ引きでも敗れ、3度目の1位入札で指名したのが山田だった。

 ここでもオリックスと競合となったが、ようやく山田への交渉権を手にする。結果的に2010年ドラフトの指名選手で最も成功するひとりになるとは、この時は誰も思いはしなかったのではないだろうか。

 ヤクルトの野手では、今年の快進撃を牽引する村上宗隆も外れ1位での入団だ。2017年ドラフトで野手の一番人気は、7球団が競合した早稲田実業高の清宮幸太郎(→日本ハム)。外れくじを引いたヤクルト、巨人、楽天が2度目の入札で九州学院高の村上を指名し、当たりをヤクルトが射止めた。

 清宮がプロの壁に苦しんでいるのとは対照的に、村上は2年目に大ブレイク。2019年に全143試合に出場して36本塁打、96打点の活躍で新人王を獲得し、今季も打率.282、39本塁打、107打点(10月14日時点)。本塁打王と打点王を巨人の岡本和真と争い、リーグ優勝の原動力となっている。

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