【独占インタビュー】斎藤佑樹が悔やむあの夏「投げ方が狂って、歯車がズレ始めていた」 (5ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

── 逆にこの数年、結果がついてこなかった時に聞こえてくる声は、"斎藤佑樹"を演じる斎藤さんにどう響いていたんですか。

「この数年は、本気で演じていた頃に比べれば(笑)、ずいぶん演じなくなっていましたからね。その分、フォーカスするのは自分のことではなく、自分がやるべきことになっていた、というところはありました。"斎藤佑樹"がどうあるべきかではなくて、"斎藤佑樹"が何をやるかが大事であって、どうプレーしているかということが大事なんじゃないかなって思うようになりました。栗山(英樹)監督にもそれはずっと言ってもらったことでした」

── 実際、この数年は本当に楽しそうに野球に向き合っていましたよね。

「それは本当にそうですね。とくにこの1年は、自分で考えて、投げて、トライアンドエラーを繰り返しながら、こうやったら打ち取れるんじゃないか、こうすれば結果は違ってくるんじゃないかということを、データを見ながら、あるいは自分のフォームを撮影して動画で見ながら、いろいろ考えてやってきた感じはあります。それが頭のなかで整理できたときには身体が言うことを聞かなくなっていて......いやぁ、すべてを合致させるのは難しいものですね」

── いま、やり尽くしたというふうには思えていますか。

「それはじつは去年くらいから思っていたんです。それでも22歳で入ったプロの世界で33歳の今年、11年目のチャンスをもらえたのは、もしかしたら野球の神様からのご褒美だったのかなって......。全部、ゾロ目だし(笑)......いまはそんなふうに思っています」

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