日本ハムOBの森本稀哲から見た、新庄剛志BIGBOSSの1年目。驚きの采配の意図や「山積みの課題」について語った (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

伊藤大海のクローザー起用は「見てみたい」

――投手陣はどう見ていますか?

森本 投手陣も課題が山積みのように感じます。特に、確立されていないクローザーも含めて、ブルペン陣の課題は多いですね。吉田輝星選手は藤川球児さんにアドバイスをもらった効果もあってか、セットアッパーでいい働きをする場面もありましたけど、伸び悩んでいるところもある気がします。今の野球は、ブルペン陣をしっかりと整備しないと優勝できません。ただ、先発投手でいえば、加藤貴之投手は安定感のある投球を続けていますし、今季に飛躍しましたね。

――ルーキーイヤーから2年連続二桁勝利を挙げ、先発ローテーションの一角の伊藤大海投手をクローザーで試す、といった話も出ていました。

森本 確かに二桁勝利はすごいことですが、貯金を作れないと本当の「エース」とは言えないのではないでしょうか。(9月22日時点で10勝9敗)。厳しい言い方になりますが、先発投手として10回勝っても10回負けてしまうとなると、優勝を目指す上ではどうなのか。やはり貯金を作れるピッチャーがエース。そうであれば、もちろん本人の納得が必要な部分はありますが、僕個人としては伊藤投手のクローザーを見てみたいなと思います。

――新庄監督は印象的な采配が多く、たとえば7月14日の楽天戦では、1アウト二、三塁で一度はスクイズを失敗するも、フルカウントからのセーフティースクイズを成功させました。そういった戦術がチームに浸透してきた印象があります。

森本 シーズン前半は「えっ、このカウントから?」といったように、新庄監督のサインに対する驚きがあったでしょうけど、それはだいぶ少なくなってきているはずです。いつかの試合のヒーローインタビューで、清宮幸太郎選手が「(新庄監督の采配に対する)免疫がついてきました」と言っていましたが、選手たちは「どのカウントで、どんなサインが出るのかわからない」という心の準備ができ始めていると思います。もちろん、成功率は上げていかないといけませんが、BIGBOSSイズムが浸透してきているように感じますね。

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