侍ジャパンの投手陣を山本昌が分析。「あの投球が大きかった」と絶賛した投手は? (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by JMPA

── 投球内容はどうでしたか。

「普段は先発としてゆったり投げているのですが、この五輪では少し力に頼って投げている部分がありましたね。それもあって変化球がうまく曲がっていませんでした。それにすべて全力投球なので真っすぐは走っているように見えましたけど、普段のピッチングよりも緩急が足りない印象を受けました。このような国際大会での一発勝負はどうしても力が入ってしまうので、仕方がない部分はあったと思います」

── 普段先発をしている投手をリリーフで使うのは、起用法として厳しいのでしょうか。

「代表として戦う以上、そこは仕方ないと思います。千賀(滉大)投手や大野(雄大)投手もアメリカ戦ではリリーフで登板して、いいピッチングを見せてくれました。先発というのは、チーム内で力のあるピッチャーが務めるポジション。日本代表には力のあるいいピッチャーが集まっているので、誰かがリリーフしなければいけません。厳しい部分はあると思いますが、力があるからこその器用ですので、そこは頑張ってもらうしかありません」

── 千賀投手は故障明けと不安視されたなか、アメリカ戦では2イニングを無失点。今後に向け、不安材料は払拭されたと言っていいですか。

「代わった最初のイニングは三者三振とすばらしい内容でしたが、まだ本調子ではないと思います。普通に投げれば150キロ後半が出るのですが、まだそこまでのスピードには達していない。ただ、2イニングを0点で抑えたことで、自信はつけたと思います。フォークとストレートがある程度思いどおりに投げることができれば、国際試合に強いタイプですので、戦力になってくれると思います」

── タイブレークでは栗林投手が見事な投球で無失点に抑えました。

「あのピッチングがとにかく大きかった。ルーキーながらカープでも抑えを任されていて、ああいう鉄火場は慣れているかもしれませんが、国際試合はまた違います。しかも無死一、二塁から始まるというなか、先頭バッターを三振に取って、後続も打ち取り0点に抑えました。日本の勝利はこの栗林投手のピッチングがあったからこそと言っても過言ではありません。投げるボールはもちろん、度胸もすばらしいですし、あらためてすごい投手だと思いましたね」

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