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広岡達朗、野村克也両監督がヤクルトで重宝。八重樫幸雄が見た角富士夫の特長とは? (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

――広岡さんの求めるレベルに対して、角さんは難なくクリアして、水谷さんはなかなかクリアできなかったということですか?

八重樫 僕もびっちり練習を見ていたわけじゃないから、わからないな。広岡さんの中には「角はもう大丈夫だ」という思いがあったのか、それとも「水谷はもっともっと厳しく接しよう」という思いがあったのか。それは定かじゃないけど、いずれにしてもそういう思いはあったんじゃないかな。

――広岡さんによる「試合後のゴロ特訓」は他には誰かいたんですか?

八重樫 徹底的にしごかれていたのは水谷で、その後が角で、他には羅本(新二)とか、松崎(泰治)とかいましたけど、羅本とか松崎は一軍にいる時期が短かったから、やっぱり、水谷と角がいちばん鍛えられたんじゃないかな?

――広岡さんの角さんに対する評価はどうだったんですか?

八重樫 バッティングに関しては、そこそこいいものを持っていたから、期待はしていたと思いますよ。それ以上に守備は安定感があったし、バントもうまかったですから、監督としては使いやすかったと思うし、広岡さんの好きなタイプの選手ではありましたね。だから、広岡監督時代に角は出場機会が増えていったし、その後の歴代監督にとっても頼りになる選手だったと思います。

――前回お話に出たように、レギュラーポジションをつかんだと思ってもすぐに、サードに新外国人を獲得する。そんなことが繰り返されても決して腐らない。それでいて、地味な役割もしっかりこなす。それは監督としては使い勝手のいい選手ですね。

八重樫 だから、プロ20年間、38歳まで現役生活を続けられたんでしょうね。性格は穏やかだったけど、内面では九州男児のたくましさもあったし、監督としてはとても助かる選手だったのは間違いないです。

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