2021.05.20

高津臣吾のクローザーとしての精神面のすごさ。八重樫幸雄「誰にもマネできない一流のものがあった」

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

「オープン球話」連載第66回 第65回を読む>>

【『珍プレー好プレー』で見せる姿は仮の姿】

――さて、前回に引き続き、現東京ヤクルトスワローズ監督・高津臣吾さんについて伺います。高津さんについて、「愛想のいい男」と話していましたが、プライベートではどんな性格の方なんですか?

八重樫 『プロ野球珍プレー好プレー』のアフロ姿が話題になったけど、僕から見た普段の臣吾は、決してああいうタイプじゃないんですよ。特別ひょうきんというわけでもないし、浮ついている感じもない。ただ、彼は気持ちの切り替えがとても上手なので、ピンと張りつめたときや緊張状態にあるときには、意識的に明るく振る舞うことができるタイプだと思うんです。

現役時代は明るいキャラクターが印象的だった現ヤクルト高津監督現役時代は明るいキャラクターが印象的だった現ヤクルト高津監督 ――では、八重樫さんにとってテレビカメラの前の高津さんは、ファンサービスの一環として、意識的に明るく振る舞っているという印象なんですか?

八重樫 まさに、そうですね。リリーフ投手になって活躍していた頃のことだけど、彼はクローザーだから試合が始まったばかりの頃はクラブハウスで待機していて、試合途中に球場入りするんです。みんながベンチ入りするときに、明るい声で「頑張れよ」って後輩たちに声をかけたり冗談を言っているんだけど、そういうときは大体、臣吾自身の調子が悪いときなんですよ。

――調子が悪いときこそ、あえて明るく振る舞っていた?

八重樫 たぶんね。ブルペンに入るときも、僕の顔を見ながら「じゃあ、八重樫さん、行ってきます!」って元気に明るく言うんです。そういうときは調子が悪いか、肩や、ヒジに不安があるとき。現役晩年は痛み止めの薬をいつも飲んでいたけど、そういうときこそ明るさを失わなかった。とても好きなタイプの人間ですね。

――八重樫さんは、自分のやるべきことを黙々とやる人間が好きですもんね。そういう意味では、テレビのバラエティー番組で見ている姿と、本来の高津さんは違うんですね。

八重樫 僕は違うと思います。ただ、だからといって暗いわけじゃなくて、根は明るい男ですよ。僕が打撃コーチをしていたときも、試合前に顔を合わすと、「今日はやりますよ!」って人懐っこく近づいてくるんで、かわいかったですね(笑)。